人気に乗じた多くはサブスク「的なもの」でしかない
2018年は、まさにリカーリングモデル拡大元年でした。大手も小規模企業もこぞって、「サブスクリプション」というワードに飛びつきました。すでに導入した企業もたくさんあります。しかし、課金だけ変えようとして、全く要件を満たしていない事例も見られます。その多くがサブスクリプション的なものに終始しているのです。
メディアもそれを助長しました。単なるレンタルやクレジット会社を仲介させただけの割賦販売をサブスクリプションと呼び、もてはやしました。しかし実際には、収益の増大どころか減少をもたらし、ユーザーの支持も得られず、短期のうちに撤退した事業があるのです。
このままでは、われ先にと始めたリカーリング的な事業は行き詰まるでしょう。近い将来には、撤退のニュースが後を絶たなくなるのは目に見えています。
あなたの企業がリカーリングモデルを検討中であるならば、いったん踏みとどまって考えてもらいたいものです。もし課金の変更だけでリカーリングモデルがうまくいくと思っているなら、それは間違いです。
では、どうすればよいのでしょうか。
結論から言いましょう。ビジネスモデルそのものに目線を移す必要があります。そして、ユーザーへの価値提案を改めなければなりません。
リカーリングモデルは、販売後も継続してユーザーと関係を持つ、すなわち「つながり」を考えることが必要条件なのです。
ユーザーとの継続する関係こそが、継続する収益の源泉になるのです。
兵庫県立大学国際商経学部教授
1974年大阪府生まれ。福島大学経済学部准教授などを経て、2012年兵庫県立大学経営学部教授、学部再編により現職。博士(経営学)。「現場で使えるビジネスモデル」を体系づけ、実際の企業で「臨床」までを行う実践派の経営学者。専門はビジネスモデル、マネタイズ。初の単独著書『ビジネスモデルのグランドデザイン』(中央経済社)で日本公認会計士協会・第41回学術賞(MCS賞)を受賞。『「つながり」の創りかた』(東洋経済新報社)、『ビジネスモデル思考法』『マネタイズ戦略』(いずれもダイヤモンド社)など著書多数。