人口減少が直撃する「教育関連業」
たとえば人口動態の変化の直撃を受けかねない最たる産業として、教育関連業がある。学校や塾といった学習支援業は約350万人が従事する巨大産業だ。なかでも平成の30年間で、極端に膨張してきたのが大学ビジネスである。
ちなみに政府が2018年にまとめた高齢社会白書によると、2017年に1億2671万人だった日本の人口は2045年には1億1000万人を割り、2055年には9744万人と1億人の大台も下回るとされる。つまり、ここから40年の間に、2500万人もの人口が消えることになる。さらに、高齢者比率(65歳以上)も2035年にはほぼ3人に1人(32.8%)、2065年には2.6人に1人(38.4%)まで上昇する。
そのような中でも日本の大学の数は右肩上がりに増え続け、2019年3月現在、787校を数えている。1989年が499校だったので、平成の間に約300校、1年に10校ものペースで増え続けたことになる。
「令和は大学衰退の時代」と言われるかもしれない
これは、あまりにも高いペースだ。なぜこれほど大学が増えたかというと、「大学くらい出ておきたい」という日本人固有の同調圧力から、大学への進学が増えたとの見方が支配的だ。実際、大学進学率は1994年には30.1%だったが、2004年に42.4%、2014年に51.5%、2018年には53.3%まで高まっている。
異常な増設ぶりだったのは確かで、「日本私立学校振興・共済事業団」がまとめた2018年度の私立大学の入学動向の調査結果によると、定員割れは210校で、全体の36%に達しているとされる。実に、3校に1校以上、定員に達していないことになる。
新設大学の一部は大学以外の教育機関も運営する学校法人が多い。そのため、定員割れがそのまま廃校に直結するわけではないが、どのような教育機関であろうと分母が減れば、じわじわと体力が奪われていく。だからこの先、大学ビジネスが今までのようには成り立たなくなるのは疑いようもない。令和は大学衰退の時代といわれるかもしれないが、いずれにせよ、大学ビジネスには、あまりに厳しい冬の時代となりそうだ。