ネットの求人広告から人件費を算出

自社配送を構築するのに必要なのは「人件費」「車両費」「ガソリン代」「保険」の4点である。しかし、ガソリン代と保険代は、費用の中で大きな割合を占めないと考えて、ここでは「人件費」と「車両費」だけで計算してみることにした。

まず、人件費に関しては、ネットに出ていた求人広告から算出。ヨドバシの配送スタッフの給与は25万円前後となっており、もろもろの経費や保険を考慮して、会社として負担しているコストは1人当たり35万円前後だと仮定した。月に20日間働いたとして、だいたい一人当たりの日当は1万7500円という計算になる。

次に1日の配送個数を算出した。参考として、ネットの求人情報でアマゾンの配送業者の募集要項を見たところ、東京都内の1日平均の配送個数は「150個」と記載されている。日当1万7500円の配達員に、150個の商品を配達させるとなると、1個当たりの配送料は約116円。もろもろの梱包資材代や保険代が乗ってきたとしても、150~170円ぐらいの配送コストではないかと推測する。

1個当たりの配送コストは200円前後ではないか

「車両費」に関しては、1台当たりの車両費がだいたい100万円だと仮定して、運送用事業者の場合、減価償却期間が3年になるので1カ月当たりのコストは27万7800円、1日当たりのコストは933円となる。1日150個の荷物を配ると仮定すると、1個当たり6円の負担。ガソリン代や保険などをプラスしても、だいたい10円ぐらいだと思われる。

ここに受注管理やカスタマーサポートの人件費、ページ制作費用、さらに在庫管理や梱包などのロジスティックの費用も加算したいところだが、こちらは全国配送のネット通販や関東圏の15店舗の配送業務も兼ねているので、ヨドバシエクストリームだけのコストは相当圧縮できるのではないかと予想する。そうすると1個当たりの配送コストは、かなりおおざっぱな計算ではあるが、200円前後になるのではないだろうか。

現在、ネットショップが一般的な配送業者を利用した場合、60サイズの平均配送料が400円前後。その料金設定から考えると、ヨドバシの配送料は格安といえる。東京近郊に配達エリアを絞ることで効率よく回ることができるし、他の配送業者と違い、ネット通販だけに特化した配送システムを構築することができているので、もしかしたら、さらに配送コストは安いかもしれない。