ヨドバシエクストリームは儲かっているのか

その日、ヨドバシエクストリームのおかげで、無事、ゲラ原稿の校正作業をすることができた。しかし、私の頭の中では「ヨドバシエクストリームは儲かっているのか?」という疑問でいっぱいになっていた。1本135円の赤いボールペンをネットで受注して、倉庫でピッキングして、わざわざ自社のスタッフに送料無料で配送までさせて、果たして利益が出るのだろうか。

しかも、ヨドバシのポイントもつけてくれているし、返品や交換にも対応するという。アマゾンや楽天のような巨大企業であればまだ理解できるが、一家電量販店がこのビジネスモデルを展開するのは、さすがに無理があるのではないかと思った。

そこで、ヨドバシという会社をいろいろ調べてみることにした。すると、20年以上前となる1998年にネット通販を開始していたことがわかった。ネット活用の歴史は古いのだ。2018年度の売上高は6805億円。同業のビックカメラは8440億円。企業規模はヨドバシカメラのほうが小さい。最大手のヤマダ電機は1兆5739億円だ。ヨドバシは規模で勝る企業ではない。

ますます深まるヨドバシエクストリームの謎

実際、「2時間以内に配達」をうたうアマゾンのプライム会員向けサービス「プライムナウ」は、2500円以上でなければ注文できないか、利用金額に応じて配送料が変わる(地域によってサービスが異なる場合がある)。楽天市場が展開する類似サービス「楽天24」も、送料無料になるのは2500円以上からだ。ネット通販を専門としている大企業ですら実現不可能な「自社配送による送料無料」を実現したヨドバシエクストリームの謎は、ますます深まるばかりだ。

しかし、公開されている決算状況を見ると、ヨドバシの業績が絶好調であることが分かる。

2016年 売上高6796億円 経常利益512億円
2017年 売上高6580億円 経常利益556億円
2018年 売上高6805億円 経常利益607億円

ご覧のように、売上高も経常利益も着実に伸ばしている。驚くことに同業のビックカメラやヤマダ電機の利益率が3%前後なのに対して、ヨドバシは8%前後の利益率をしっかりキープしている。仮にヨドバシエクストリームが赤字事業であれば、このような数字にはならないはずだ。

そこで、ざっくりとだがヨドバシの自社配送の1個当たりの送料がどのくらいになるのか計算してみることにした。