「それでも私は闘い続ける。私は無実だ」
容疑を全面否認しているゴーン氏は、これまでのマスコミの取材に「(オマーンの販売代理店に支払われた資金は)日産の部下の要請を受けて長年支払ってきたもので、正当な報奨金だ。クルーザーの購入も日産とは無関係だ」と話していた。
またゴーン氏は、再逮捕される前日の4月3日、フランスのテレビ局のインタビューに対し、弁護士事務所から応じた。
そのインタビューで「90%の確率で逮捕されるだろう。それでも私は闘い続ける。私は無実だ」と繰り返し語っていた。
4度目の逮捕。しかもそれを予測して落ち着き払っていた。ゴーン氏は鉄のように精神力の強い男なのだろう。それだけに検察は彼を恐れているのかもしれない。
ただ、オマーンルートに関しては、仏ルノーからもフランスの捜査当局に対し、不明朗で不審な支出が通報されている。日仏で捜査が進む。
ゴーン氏に私的流用は全くなかったのだろうか。疑問である。少しでもやましいところがあるなら、それをきちんと認めるべきだ。ここまで国際社会を巻き込んだ事件を引き起こしたのだからその責任をとる覚悟は必要である。
裁判所の判断に、検察内には不満がくすぶっていた
ゴーン氏は逮捕直前に、ツイッターで「11日に記者会見を行う」と明らかにしていたが、なんとか逮捕を避けようと日程を出したのではないか。
ゴーン氏の弁護士も逮捕で記者会見ができなくなることを予測していたことを認め、「あらかじめゴーン氏の姿と言葉を動画で記録してあるのでそれを近く公開する」と話している。
「日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告を巡る事件を語る上でキーワードとなったのが人質司法だ。そうした批判に耐えうる再逮捕だったのかが今回問われる」
こう書き出すのは、4月5日付の毎日新聞の社説である。見出しも「『人質』批判に抗せるのか」だ。
その毎日社説は中盤で指摘する。
「逮捕には検察内にも慎重論があった。長期勾留が海外メディアから批判を浴びたことを踏まえ、任意捜査で追起訴すべきだというものだ」
「一方、捜査が継続しているにもかかわらずゴーン前会長の保釈を認めた裁判所の判断に、検察内には不満がくすぶっていたとされる」