海外へ逃亡したカルロス・ゴーン被告に対して、大手メディアを通じて推定無罪の原則を無視した激しい批判が加えられている。その中には捜査機関からのリークとしか思えない情報も多数含まれる。日本の捜査当局とメディアが抱える積年の大問題を橋下徹氏が鋭く突く。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(1月21日配信)から抜粋記事をお届けします。
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近代国家が絶対に守るべき原則、推定無罪と黙秘権
森雅子法務大臣が、「ゴーン氏は日本の法廷で無罪を証明すべきだ」と語った。さすがに推定無罪の原則に反すると思ったのか、その後「『無罪を主張すべきだ』に訂正する」とした。
日本の中でも、ゴーン氏の会見について「何の説明もしていない」「無罪の主張として裏付けが何もない、具体性がない」などという批判が沸き起こった。
しかしこれらの批判は、推定無罪の原則や黙秘権という近代国家が絶対に守らなければならない原理原則を無視した批判だ。
フェアの思考からすると、ゴーン氏にこのような批判をする人たちは、自分たちにも推定無罪の原則や黙秘権が保障されなくても文句が言えないことになるが、それでいいのだろうか?
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