自分を裏切った人間に仕返しするためではなく、自らの汚名をそそぐために、本当のことを話したいと、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長は私たちに語った。
自分の失脚は、役員報酬の開示をめぐる不正とされるものとは全く関係がないと、新著『壊れた連合』のプロモーションのために先頃レバノンの自宅で本誌のインタビューに答えたゴーンは主張した。日本側が経営の実権をフランスに譲り渡すことを恐れたのが真相だという。
ゴーンは新著で、ビジネス界での特筆すべき成功、その輝かしいキャリアに終止符を打った「陰謀」、そして2018年11月19日の逮捕について語っている。
この著書でゴーンは初めて、自らの追放を画策したと考えている日産幹部の実名を挙げた。まず、内部監査室本部長を務めていたクリスティーナ・ムレイは、社内でゴーンのスキャンダルを探っていたと、同書は記している。
画策したのは日産の幹部たち
チーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)の職にあったホセ・ムニョス(現在は現代自動車のグローバル最高執行責任者)も、追放計画に共謀したという。また、日産のベテラン幹部だった川口均(現在は副社長を退任)も関与したとしている。
こうした幹部たちが日本政府と一緒になって、逮捕の理由をでっち上げたと、ゴーンは語った。「この謀略は、いわば日産のオールド・ボーイズが画策したものだと思う。日産で長年働いていて……(ルノーと資本提携を結ぶ以前の時代に)郷愁を抱いている人たちのことだ」
転機になったのは18年6月にルノーと日産と三菱自動車の3社連合の全体を監督するようになったときだったと、ゴーンは振り返る。「(オールド・ボーイズたちは)自分たちの自治が奪われることを恐れた……そこで、日本政府の一部の支援を得て検察と共謀した。まさかそんなことが起きるとは、想像もしていなかった」