「すべての事件について無罪だ」と主張してきたが…

収賄と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の罪に問われた秋元司衆院議員(49)=東京15区=に、東京地裁は懲役4年、追徴金約760万円(求刑・懲役5年、追徴金約760万円)の実刑判決を言い渡した。執行猶予は認めていない。カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件に対する司直の厳しい裁きである。

記者会見を終え、退室する衆院議員の秋元司被告
写真=時事通信フォト
記者会見を終え、退室する衆院議員の秋元司被告=2021年9月9日、東京・永田町の衆院議員会館

9月7日の判決は「国会議員という重要な公職にありながらワイロを受け取り、露骨な司法妨害にまで及んだ」と糾弾し、「最低限の順法精神すら欠如している」と指摘した。

弁護側によると、判決後、秋元議員は「むかつく」「頭にくる」と語ったという。

これまでの公判でも「すべての事件について無罪だ。事件は東京地検特捜部がでっち上げたフィクションで、政治家を捕まえたい検察の暴走だ」と豪語し、検察側と全面対決してきた。判決の言い渡しも腕組みしたまま聞いていた。「無罪」と言い切る秋元議員のこの自信は一体、どこに由来するのだろうか。

IR汚職事件での逮捕時は衆院の3期目だった

秋元議員が東京地検特捜部に最初に逮捕されたのが、2019年12月25日。その逮捕を含め、これまでに計4回も逮捕・起訴されている。逮捕される度に3000万円~1億円の保釈保証金を東京地裁に納付し、保釈されると、胸に国会議員のバッジを付け、秋の衆院総選挙に向けた政治活動を続けた。

一部の保釈保証金はすでに没収されているが、多額の保釈保証金はどこから出てくるのだろうか。証人買収の工作資金も半端な額ではない。控訴で弁護士費用もかさむ。打ち出の小槌でも持っているのか。

報道や秋元議員のホームページによれば、秋元議員は大東文化大学在学中の1993年4月に国会議員の秘書となり、2004年の参院選で初当選した。だが、2010年の参院選で落選。その後、2012年の衆院選で国政に返り咲いた。IR汚職事件で逮捕されたときは、衆院の3期目だった。