毎日社説の見出しは「根深い政治腐敗への断罪」
毎日新聞の社説は「秋元議員は全面的に無罪を主張している。しかし、贈賄側や証人買収に関与した人がいずれも起訴内容を認めた。資金を用意した証拠も見つかっており、言い分は説得力に乏しかった」と批判し、こう主張する。
「即日控訴し、今後も政治活動を続ける意向という。だが、有権者の信頼は大きく損なわれている。有罪判決が出た事実を重く受け止め、直ちに議員辞職すべきだ」
秋元議員は秋の衆院総選挙で当選はしないだろう。有権者は秋元議員が事実を押し曲げておのれの正当性を訴えるヤカラだと理解している。せめての罪滅ぼしとして言い渡された実刑判決を素直に認め、早々に議員辞職をするべきである。
毎日社説は「今年に入り、『政治とカネ』の問題で有罪の司法判断を受けた国会議員は、辞職した人を含め4人目だ。ゆゆしき事態である」と指摘し、最後にこう訴える。
「全員が自民党の所属だった。党は真摯に反省し、問題の根絶と信頼回復に向け、総裁選できちんと議論しなければならない」
見出しも「根深い政治腐敗への断罪」である。
有罪判決を受けた国会議員は、安倍政権下の「アベ1強」が生んだ負の落とし子である。安倍政権を支え、そして引き継いだ菅首相にも大きな責任がある。
自民党総裁選(9月29日投開票)で選ばれ、首相となる人物は強く反省し、負の落とし子を一掃してもらいたい。
「自民党のけじめのない姿勢が批判を招いている」と読売社説
読売新聞の社説は「秋元被告は収賄事件で保釈された後、自分の裁判で証人になりそうな贈賄側の被告を買収しようとした組織犯罪処罰法違反にも問われた」などと指摘したうえで、こう主張する。
「汚職事件の刑事責任を問われた国会議員が、主張の対立する相手にうその証言を持ちかけて報酬を約束するなど、前代未聞である。裁判の公正さをゆがめる行為であり、到底許されない」
秋元議員の証人を買収しようとした行為はだれがどう考えても情状酌量の余地はなく、「到底許されない」行為なのである。それにもかかわらず、議員辞職を拒んでいるのは甚だ遺憾である。
読売社説は「逮捕後に自民党を離党したが、議員辞職は拒み、今秋の衆院選には出馬する意向を示している」「このような状況で、有権者に支持を訴えるなど、常軌を逸している。判決の指摘を謙虚に受け止めることが必要だ」と訴えた後、こう指摘する。
「自民党に所属した議員の不祥事が続いている。先の参院選で地元議員らに現金を配った河井克行元法相は実刑判決を受けて控訴し、菅原一秀前経済産業相は選挙違反で罰金刑が確定した。吉川貴盛元農相も収賄罪で公判中だ」
毎日社説と同じく、安倍政権とその後の菅政権へと続く中で起きた政治腐敗、自民党政治の歪みを問題視している。
最後に読売社説は「これらの刑事事件について、政治家本人や党が十分な説明を尽くしたとは言い難い。自民党は、けじめのない姿勢が国民の厳しい批判を招いていることを、改めて自覚しなければならない」と訴える。
自民党と政府は、言論界で保守を代表する読売社説に矛先を突き付けられていることを自覚してほしい。