スケベ心をコントロールして武器にする
最後に「欲」についてお話します。欲、つまりスケベな気持ちはすごく大切です。スケベな気持ちをコントロールすれば大きな武器になる。でも、欲に溺れると大変なことになります。
人間は誰しも「人より上に行きたい気持ち」を持っています。そのため、誰かがうまくいっていると、嫉妬によって「自爆」する可能性が出てくるわけです。「人より上に行きたい」という思いがあると、つねに人をうらやむことになります。相手を超えたいはずなのに、その相手を意識しすぎて、結局は自分がそのプレッシャーにつぶされてしまうという構図です。
人間の欲には際限がありません。欲を出しすぎると最終的に欲につぶされます。人生で大事なスキルは、この「欲コントロール」なのです。
嫉妬も「欲」と同じで、エネルギーにすれば強力な武器になります。嫉妬の気持ち自体は健全なので、悪いことではありません。嫉妬心はそのまま受け止めつつ、でも飲まれないようにコントロールすることが重要になってきます。
他人とあまり比べすぎず、嫉妬心が湧いたときには毎回、自分で修正を入れればいいのです。嫉妬は多くの人が陥る罠ですが、とにかく「自分のものさしで生きる」ことを忘れなければ大丈夫です。
関係のない物事には「反応しない」
僕も、自分の出番の前の試合がいいフィニッシュだったらプレッシャーがかかります。ただ、意識的に「これは無視しよう」と思うようにしています。自分に直接関係のない物事はできるだけ「反応しない」ことが重要です。
そうすることで、余計な感情にとらわれることはなくなります。完全に無視することはできませんが、気持ちを少しでも客観的に整理することが大切なのです。
嫉妬はする。でも嫉妬をしたら損だから、ちゃんと整理をする。整理をすれば、ある程度自分で予期した嫉妬になります。まったく整理しないと、だいぶこじらせた嫉妬になります。感情は支配するものです。支配されてはいけません。
1983年5月9日生まれ。静岡県出身。小学生の頃から柔道を始め、2002年に全日本ジュニア強化選手に選抜される。早稲田大学在学中に柔道から総合格闘技に転身。「修斗」ミドル級世界王座を獲得。大学卒業後に安定を求め静岡県警に就職するも、本能に従い2カ月で退職を決め、再び総合格闘家の道へ。そして「DREAM」「ONE FC」で世界ライト級チャンピオンに輝く。著書に『空気を読んではいけない』(幻冬舎)がある。■Twitter:ツイッター■note:青木真也note