ここは先を見越して動く必要がある。防衛では先見の明が欠かせない。先を見通せなければ、抑止力も効かない。
ボタンを正しく掛け直した後、たとえば沖縄県外の日本国内に新たな米軍基地を建設する方法も検討すべきである。本土の既存の自衛隊基地を拡大して一部を米軍が使用することも可能だ。グアムの米軍基地を増強する方法もあり得る。とにかく辺野古に固執していては一歩も前には進まない。
産経社説は「沖縄県民を含む国民の安全を損なう」と書くが、安倍政権の本音は、沖縄県民を犠牲にして日本の安全と国益を守ろうというものだ。それを社会の公器である新聞の社説が、いかにも沖縄県民の安全が守れないというような書き方をするのは、ずるくて卑怯だ。納得がいかない。社説は正々堂々と本音で書くべきである。
県民投票は基地問題に「なじまない」のか
次に2月26日付の読売新聞の社説。その冒頭から「沖縄県の基地負担を軽減する長年の取り組みを混乱させることにならないか。安全保障政策を県民投票で問うことの危うさを直視すべきだ」と主張する。産経社説と同様、米軍基地問題を沖縄に一方的に押し付けるつもりなのでは、と疑いたくなる書きぶりである。
読売社説は中盤でこうも指摘する。
「米軍施設の移設先は、日本を取り巻く安全保障環境や米軍の運用実態、沖縄の基地負担軽減を総合的に勘案して決めざるを得ない。国は、時間をかけてでも実現させる責務を負う。県民投票で是非を問うのはなじまない」
県民投票は本当になじまないのだろうか。沙鴎一歩は「『国民投票』で是非を問うべき問題だ」と主張したが、読売社説は正反対のスタンスを取る。どこまでも安倍政権を擁護したいのだろう。さらに読売社説は主張する。
「英国が欧州連合(EU)離脱の是非を国民投票にはかった結果、大混乱に陥っている」
「複雑に利害が絡む国政の課題は、有権者に直接問うのではなく、国政選挙で選ばれた国会議員に委ねるべきである」
イギリスのEU離脱問題と日本の辺野古移設問題を等しく並べる読売社説の真意がわからない。複雑に利害が絡む国政の課題だからこそ、地元沖縄に直接問える県民投票がいいのではないか。米軍基地で経済効果の恩恵を受けるのも、米軍機の騒音や事故、米兵の犯罪に悩むのも沖縄県民だ。その沖縄県民がどう考えるのかを問うのが民主主義だろう。