「課題」を頭に置くと理解しやすい

「ランキング化する」「問いを立てる」といった聞き手の興味を引く言い回しのバリエーションに、「課題や大切なことを文頭に置く」という手法があります。

イラストレーション=たかだべあ

日本語は、「……が課題です」「……が重要です」というように「課題」や「重要」という言葉は最後にくることが多い言語です。みなさんの会話も、大体こうなっているのではないでしょうか。

でも実は、これだと文章を最後まで聞かないと、伝えたいことが「課題」なのか、「重要なこと」なのか、「メリット」なのか、「気になること」なのか、聞き手にはわかりません。

以下の2つの文章を比べてみましょう。

 
A「育児中の女性社員の上司が信頼できる人でも、育児の大変さを理解していないことが多いというのが問題です」
B「問題は、育児中の女性社員の上司が信頼できる人でも、育児の大変さを理解していないことが多い、ということです」

Aは、最後まで聞かないと「上司を褒める」話なのか、「上司の問題を指摘する」話なのか、わかりません。

下地寛也『プレゼンの語彙力』(KADOKAWA)

Bは、はじめから「上司の問題」の話が始まるのだと理解できるので、話を聞きながら「何が問題なのかな」と想像しながら話を聞くことができます。

これは、ともすると一文がだらだらと長くなってしまいがちな日本語のプレゼンテーションにおいて、とても聞き手フレンドリーな表現です。

いかがでしたか? 相手を惹きつけ耳を傾けさせるプレゼンというのは、予想以上に「プレゼンの語彙力」によるところが大きいのを、感じていただけたでしょうか? せっかくデータを集めたり提案内容を練ってプレゼンに臨むなら、プレゼンの語彙力を身に付けてYESを引き出してください。また、ここだけの話、「他社との差別化がキツい」「圧倒的なメリットがつけられない」プレゼンをする際にも、プレゼンの語彙力は大いにあなたの味方をしてくれることでしょう。

(イラストレーション=たかだべあ)
関連記事
「役員級と課長止まり」言動と服装の違い
会社が絶対手放さない、優秀人材6タイプ
「エース社員が辞める」残念な会社の特徴
だまされてはいけない!大損する金融投資
"メンタルが強めな人"にある3つの超感覚