「まるで敵性国家の所業ではないか」

こんなとき、はっきりとものを言うのは産経新聞だ。その産経は新聞各紙のなかで真っ先に社説(産経は「主張」)として取り上げた。

「韓国の政府と海軍は過ちを正直に認めて責任者を処分し、日本に謝罪すべきである」
「まるで敵性国家の所業ではないか。反日行動がこれ以上続けば、韓国と友好関係を保つことは難しい」

「責任者の処分」「日本への謝罪」と厳しく批判し、「敵性国家だ」と断罪する。12月23日付の産経社説は冒頭から手厳しい。

産経社説は分析・解説がなく、冷静さに欠ける

さらに「人に銃口を向けることと変わらない」「極めて危険かつ、敵対的な行為だ。国際社会においては、照射された側が自衛権の行使で直ちに反撃しても問題ないとされるほどの事案である」と指摘したうえで、「北朝鮮の核・ミサイル問題で日米韓の防衛協力が必要なときに、これを踏みにじる行為であり、言語道断だ」と書く。

まさに怒り心頭に発すといったところだろう。ただ残念なのは、少し書き過ぎだ。もっと冷静に筆を動かすべきだ。

社説で肝心なのは、冷静な分析である。韓国軍がなぜ火器管制レーダーを照射したのかについて分析・解説したうえで主張すべきだと思う。

単に怒りをぶちまけているだけだと、書いている論説委員の道徳感までが疑われる。社説には品性が必要だ。

「韓国は日本の疑念に応えよ」と読売

同じ保守の立場を取る新聞でも読売新聞の社説(12月26日付)は割と冷静だ。

「韓国は日本の疑念に応えよ」と見出しを付け、「アジア地域の安全保障に責任を負う隣国同士である。韓国は、日本の疑念に真摯に応えるとともに、再発防止策を速やかに講じねばならない」と書き出す。

さらに次のように冷静に主張する。

「日韓両国は、ともに米国の同盟国として緊密に協力すべき関係にある。韓国政府は、今回の事案にきちんと向き合い、事態の収拾を図ることが求められる」
「地域の最大の懸案は、北朝鮮の核、ミサイル問題である。その解決に向け、日米韓3か国の協力関係を乱してはなるまい」