韓国軍にはどんな意図があったのか
防衛省によると、P1哨戒機は厚木基地に所属し、日本の排他的経済水域(EEZ)内で警戒監視活動をしていた。レーダー照射を約5分間に渡って複数回受け、直ちに回避行動を取った。
その間、P1哨戒機の搭乗員は韓国軍の駆逐艦に「どんな意図があるのか」と無線を使って問いただした。だが、駆逐艦からは応答がなかった。
5年前の2013年には中国海軍の艦船が東シナ海で海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射し、日本政府が中国側に強く抗議したことがあった。
今度は韓国軍だ。中国とは違い、韓国はともにアメリカの同盟国であり、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決を目指す協力関係にある。
レーダーを照射したのは、広開土大王(クアンゲトデワン)級駆逐艦だった。この韓国軍の駆逐艦はなぜ、ロックオンという異常行動に出たのか。その背景には何があるのか。
日本と韓国の主張は平行線のまま
韓国の国防省は21日夜に「日本の哨戒機を追跡する目的で火器管制レーダーを運用した事実はない」と声明を出した。さらに24日には国防省副報道官が「日本側に脅威を感じさせるいかなる措置もとらなかった。人道主義的な救助のために正常な作戦行動を取っていた」と述べ、照射そのものを否定した。同日にソウルで開催された日韓外務省の局長級協議でも、お互いの主張は正反対で、日本と韓国の主張は平行線のままだ。
韓国メディアも国防省関係者の話として「火器管制レーダーの照射は遭難した船舶を捜索するために行った」と報じているだけで、照射事件の真相までは触れていない。
韓国国防省によると、日本の哨戒機が火器管制レーダーの照射を受けたとされる20日、韓国海軍は日本海で北朝鮮漁船の救助活動をしていたという。
この事件には北朝鮮が絡んでいるのではないか
またしても北朝鮮である。これまで南北首脳会談で北朝鮮最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と親しく握手を交わしてきた韓国の文大統領。今回の照射事件も根っこで北朝鮮が絡んでいる気がしてならない。
文政権は支持率の最低に悩んでいる。沙鴎一歩の拙い想像だが、北朝鮮の漁船と日本の哨戒機をうまく組み合わせることで政治的なパフォーマンスを仕掛け、韓国国民の反日感情をあおり立てて支持率を上げようとたくらんでいるのかもしれない。
それとも文政権に嫌気を起こした軍部が暴走したのだろうか。
北朝鮮にしても何をたくらんでいると思う。日本は核・ミサイル問題で経済制裁を断行し、拉致被害者の救済を強く求める嫌な相手だ。韓国と結び付くことで経済制裁への打開策を見つけ出そうとしているとも考えられる。