Googleで行われている「エアポート・テスト」の中身
このように、音楽であれ、文学作品や落語であれ、アテンションの維持は必要不可欠なものですが、これはビジネスパーソンにとっても重要な能力ではないでしょうか。採用面接やプレゼン、取引先との交渉など、さまざまな場面で活かせるはずです。
ちなみにGoogleでは「エアポート・テスト」という採用基準があるのをご存じでしょうか。これは「飛行機が欠航になって、空港で求職者と一晩一緒に過ごさなければならないときに、耐えられるか」を面接官が自問自答するというユニークなものですが、ここでもまさにアテンションを維持できるセンスが問われているわけです。
アテンションを維持する力は、STEMばかりを学んでいても身につけることはできません。こうした意味においても、『センスメイキング』で提唱されているような、アートも含む人文科学のリテラシーを高めることは、ビジネスパーソンにとって価値があります。
コンサルタント
1970年生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループなどを経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)などがある。