満たされない欲求を、アプリで埋めていく

【田原】16年にAppBrewを立ち上げる。これはどういう会社ですか。

田原総一朗●1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。本連載を収録した『起業家のように考える。』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。

【深澤】いまAppBrewは化粧品のクチコミアプリ「LIPS」を提供しています。LIPSは200万ダウンロードを突破しました。化粧品情報アプリではナンバーワンです。ただ、会社として化粧品に特化しているわけではありません。目標は、多くの人に使われるプロダクトを再現性を持ってつくること。コンシューマーに広く使われるものをいくつもつくりたくて、LIPSはその1つです。

【田原】コンシューマーに求められるのは、たとえばどんなもの?

【深澤】それがけっこう難しくて……。

【田原】もちろんそうでしょう。それをどうやって見つけるんですか。

【深澤】社会の歪みというか、既存のもので不便なところや、満たされてない欲求を見つけて、それに対して、これがあれば満たせるんじゃないかというプロダクトをつくり、仮説と検証を繰り返すしかないのかなと。

【田原】化粧品の情報は、みんな満たされてなかったんですか。深澤さんは男性だけど、どうしてそれに気づいたの?

【深澤】僕というより、共同創業者の松井友里の気づきですね。彼女が「いまある化粧品の情報サイトでは、私の欲求を満たすものがない」といって、それを解決したいというところからスタートしました。

【田原】既存の情報サイトのどこが不満なんですか。

【深澤】ユーザーが信頼できる情報と出合えないんです。たとえば化粧品情報最大手のサイトは、商品にいっぱいレビューがついていますが、ユーザーにとってはあまり参考にならない。

【田原】どういうこと? 商品の内容や値段が書いてあって、そこにウソがあるということですか。

【深澤】いや、商品がランキング順に並び、商品ごとにレビューがたくさん書いてあるのですが、そのレビューが自分に役立つものかどうかがわからないんです。最大手サイトに限りませんが、従来の化粧品情報サイトは、誰がそのレビューを書いているのかがわかりにくい。だから、ユーザーから見て、信用できるかどうかわからないんです。

【田原】深澤さんはその不満をどうしようとしたんですか?

【深澤】どんな人が書いているのか見える形で使えるサイトをつくろうと思いました。たとえば20代女性で乾燥肌が悩みの人がいれば、同じく20代で乾燥肌に悩む人が書いたレビューをすぐ見られるようにしようかなと。

【田原】1つの化粧品についてレビューは何件くらいあるの?

【深澤】多いものだと1000件とか、1万件とか。