【田原】大学にはいつか戻るんですか。

【深澤】うーん、意味がないとはいいませんが、少なくともいまの僕にとっては、そこに時間とお金を投資する必要はないと思っています。

【田原】ところで、LIPSのビジネスモデルはどうなっていますか。ユーザーは無料でしょう?

【深澤】化粧品メーカーからの広告費が収益源です。たとえば「この商品のプレゼントキャンペーンをやりたい」ということで広告費をいただいています。

【田原】広告費は相当もらえる?

【深澤】相当……、ほかの業界よりは大きい業界だとは思います。

【田原】というのも、いま広告の世界も変わってきていますよね。新聞や雑誌、テレビ、ラジオといったマス広告の効果が落ちていることにメーカーが気づいて、新しい広告の打ち方を模索している。その悩みに、深澤さんのアプリが応えられるんじゃないかと思って。

【深澤】化粧品メーカーも最近はデジタル広告に本気で力を入れ始めています。ただ、ブランディング広告ができる規模でコスメに特化しているインターネット媒体はほとんどない。唯一できるのが最大手のサイトですが、ユーザーの年齢層がやや高い。若い世代に向けてやりたいというメーカーが、いま僕たちを選んでくれている印象です。あるメーカーは、店舗から「このアプリを見て買っている若い人が多い」という情報を聞いて、うちに出稿してくれました。

【田原】LIPSのユーザー層は若いの?

【深澤】10代が約半分です。

【田原】なるほど。先ほど、ユーザー一人ひとりに合わせてレビューを表示するといいましたね。広告もそうやっているんですか。

【深澤】広告に関しては、現段階でそこまでやっていません。ただ、グーグルやフェイスブックのように個人データをたくさん持っている企業では、かなり前からターゲティング広告が行われている。僕らも最終的にはその方向でどんどんやると思います。

【田原】LIPSはアプリで1位。ウェブもあるんですか。

【深澤】はい。ただ、ウェブのほうはまだまだで、ユーザー数は最大手サイトの10分の1にも届いていません。アプリの拡大を進めると同時に、ウェブのほうでも近いうちに対抗できる規模にしたい。具体的には、この1年で2位まで成長させて、2~3年のうちに逆転したいです。