【田原】そんなにたくさんあったらぜんぶ読めないね。
【深澤】ですから、その人が求めているものが表示されるように機械側で振り分けています。いまニュースアプリを開くと、AIがその人に合った記事を選んで上位に表示してくれますよね。たとえば農家の人が開けば農業の記事、エンジニアが開けばプログラミングの記事が読める。それと同じことをしています。
【田原】20代の乾燥肌の女性が読んだら、同じタイプの人のレビューが上位に表示されるということ?
【深澤】たとえばそういうことです。
【田原】最大手のサイトは、それをやってないんですか?
【深澤】やってないです。基本的にランキングのサイトなので。
【田原】どうしてやらないのかな。ユーザーに合った情報を示すくらいなら、ほかのサイトだってできそうな気がする。どうですか。
【深澤】アイデアはみんな思いつきますが、それを形にすることがすごく難しいんです。僕たちは、そのつくりこみに強かった。
【田原】どうして深澤さんのところはつくりこみができるんですか。
【深澤】さっきAIといいましたが、そんなに大げさな話でなく、もっと基本的なところの違いだと思います。ユーザーがアプリをどのように使っているかをデータから把握して、プロダクトを改善する。僕たちは、そのサイクルをしっかり回せることが強みです。
【田原】でも、ほかの会社だってエンジニアがいるでしょう。なぜ大手ができなくて、深澤さんの会社ができたのかがわからない。深澤さんがエンジニアとして優秀だから?
【深澤】たぶんそうです(笑)。ただ、エンジニアとしてのスキルというより、ビジネス的な視点とエンジニアリングの両方を理解して開発を進めていくことが難しくて、それができているかどうかの違いかなと。
【田原】大手は分業制でビジネスサイドとエンジニアが分かれていて、両方の連携が取れていないんだ。
【深澤】おそらくそうだと思います。たとえばあるボタンに何%の人が気づき、何%の人が押したのか。僕たちは、そういったデータを開発チームの一人ひとりが把握して、そのファクトに基づいて改善していける。そこが一番の強みです。
【田原】いま社員は何人ですか。
【深澤】20人いて、12~13人がエンジニアです。
【田原】みんな東大生?
【深澤】いえ、そんなことはないです。僕と松井が休学中で、現役かつ社員の東大生が2人います。