ひきこもりの子とその兄弟姉妹が不仲というのはよくある
最後に、可能性は低いと思われますが、私はある提案もしてみました。
「お母様が亡くなった後、ご次女もひとりになってしまいます。何かと不便や不安を感じることも多いことでしょう。ご長女もずっとひとりで生活し続けることに不安もあることでしょう。姉妹で別々に生活するよりも同居したほうが生活コストは低く抑えることができます。仮に姉妹で平等に相続したとしても、結局はお二人で一緒に使っていくことになりますし。もちろんお二人が同居を望むのであれば、ですが……」
「なるほど、そうですね。一緒に住めば何かと安心ですし、生活費も抑えられますものね。今は無理かもしれませんが、折を見て家族で話してみようと思います。落ち着きましたら、またご相談させていただこうと思います。どうもありがとうございました」
ご相談の最初の頃と比べて、母親の表情にもだいぶ明るさが感じられるようになりました。
残念ながら、ひきこもりのお子さんとその兄弟姉妹の仲が思わしくない、というのはよくあるケースです。ひきこもりのお子さんと独立しているお子さんがいる場合、どうしてもひきこもりのお子さんのほうばかり気にしてしまうことでしょう。そして、お金に関しても兄弟姉妹の間で不平等になってしまうことも多いことでしょう。
それらが不仲の原因のひとつになっているのかもしれません。
こうすればうまくいく、こうすれば大丈夫、というただ1つの正解はない。あるご家族でうまくいく方法が、必ずしも他のご家族でうまくいくとは限らない。正解はご家族の数だけある、ということを改めて気づかされました。