裁判になれば絶縁は必至、誰もトクしない結果になる。弁護士も心情の解決まではしてくれない。
実家の土地家屋が、モメる火種になる
相続の現場で最近増えているのが、兄弟姉妹間のトラブルです。
片親が亡くなった時点(例えば父親が亡くなり母親が存命)では残された親への配慮から自制するのですが、その親も亡くなって兄弟姉妹だけで財産を分ける段になると思いもよらなかった争いが勃発し、話し合いもできないほどにこじれるケースが増えているのです。
「ウチには財産がある」と自覚している家は、親が遺言書を残したり兄弟姉妹間でそれとなく話し合われていたりと、ある程度の準備ができているものです。
問題は「ウチには相続するような財産なんてない」と高をくくっているケース。預貯金や株などの金融資産はあまりなく、相続財産が実家の土地と家屋くらいしかない場合です。経験則上、兄弟間より姉妹間でモメることが多く、実家に同居してきた相続人がいるとさらに複雑になります。
預貯金や株であれば金額を等分にすれば済みますが、不動産は分けにくい財産の典型です。
実家を売るのか、賃貸にするのか、誰かが住むのか!? かつては親と同居して面倒を見てきた相続人がいれば、他の人は譲って住み続けるのが普通でした。
とはいえ他の相続人も何もなしでは納得しにくいので、家を相続する人が代償金を払って、法定割合でなくとも納得してもらう知恵も余裕もありました。