強硬姿勢が溝をさらに深くする
8月9日のプレジデントオンラインではこうも書いた。
「(読売社説は)朝日社説の指摘や主張と真逆である。朝日社説と読売社説のどちらが正しいのだろうか」
「環境保全措置は十分なのか、不十分なのか。サンゴの移植はやるのか、やらないのか。今回、2紙の社説を読み比べていると、頭の中が混乱してくる。結局、朝日に言わせれば『環境保全が不十分』であり、読売に言わせれば『環境保全は十分』ということなのだろう」
そこで今回も、安倍政権に批判的な朝日新聞の社説と、親和的な読売新聞の社説(ともに10月1日付掲載)を読み比べてみよう。
朝日社説は冒頭部分から玉城氏の圧勝をテコに主張する
「安倍政権は県民の思いを受けとめ、『辺野古が唯一の解決策』という硬直した姿勢を、今度こそ改めなければならない」
「まず問われるのは、県が8月末に辺野古の海の埋め立て承認を撤回したことへの対応だ。この措置によって工事は現在止まっているが、政府は裁判に持ち込んで再開させる構えを見せている。しかしそんなことをすれば、県民との間にある溝はさらに深くなるばかりだ」
「硬直した姿勢」「溝はさらに深くなる」など朝日社説の指摘は手厳しい。そして「今度こそ改めなければならない」との主張は安倍首相嫌いの朝日新聞らしさがそのまま出ている。
安倍政権の戦いぶりを「異様」と表現した朝日新聞
さらに朝日社説は「『沖縄に寄り添う』と言いながら、力ずくで民意を押さえ込むやり方が、いかに反発を招いているか。深刻な反省が必要だ」と安倍政権をたたく。
極めつけが次のくだりである。
「今回の選挙で政権側がとった対応は異様だった。全面支援した佐喜真淳氏は辺野古移設への賛否を明らかにせず、応援に入った菅官房長官らは、県政とは直接関係のない携帯電話料金の引き下げに取り組む姿などをアピールして、支持を訴えた」
「都合の悪い話から逃げ、耳に入りやすい話をちらつかせて票を得ようとする。政権が繰り返してきた手法と言えばそれまでだが、民主主義の土台である選挙を何だと思っているのか」
安倍政権の戦いぶりを「異様」と表現し、最後には「民主主義」を振りかざす。朝日新聞が応援する知事候補が圧勝したとはいえ、少々度が過ぎた論の展開に思える。
この社説を書いた朝日新聞の論説委員は、抑えて書くことを知らない。論説は料理と同じだ。味が濃ければそれでいいわけではない。隠し味が重要なのである。