“渋谷帰還”は必ず実現させなければならなかった

渋谷から他の街に企業が拠点を移すに伴い、渋谷駅の利用者数も減少した。この状況に東急グループは危機感を募らせてきた。同社は事態を挽回するために渋谷の再開発を進めている。現在の計画では、2022年までに1350億円が投じられる。

渋谷の特徴は、若者が多いことだ。サッカーワールドカップの際に多くの若者が集まるのは、その顕著な例だ。渋谷の「SHIBUYA 109」や原宿などのセレクトショップの存在は、ファッションなどを中心に多くの若者を国内外から引き付けている。それは、もともと渋谷に備わってきた強みといえる。

東急は“若者の街 渋谷”に、最先端のネットワーク・テクノロジーの発信や起業の街としてのイメージを付け加えたい。まさにビットバレーの再興だ。そのためには、多くの人が直感的に「渋谷はITの街だ」と思ってしまうシンボルの存在が欠かせない。

それが、グーグル日本法人の“渋谷帰還”の実現だった。東急がITの要素を取り込んで渋谷再開発を進める上で、グーグルの存在は何としても実現させなければならないものだった。また、東急は渋谷にスタートアップ企業の拠点として使える施設の整備を進めてきた。それは、北京やシンセン、シンガポールに肩を並べるテクノロジー拠点としての街づくりといってよい。

最先端テクノロジーと文化の発信地へ

人工知能などの開発を進める上で、IT企業は関連するテックカンパニーが多く拠点を置く場所でビジネスを行った方がよい。その考えから、渋谷ではサイバーエージェントなどのIT企業が“シブヤ・ビットバレー”プロジェクトに取り組んでいる。目指すことは、ユニコーン企業の育成や渋谷で働く楽しさを人々に伝えることだ。

渋谷は楽しいと思う人が増えれば、人の往来の増加とともに様々なアイディアが渋谷に集まるだろう。それは、IT先端企業が従来にはない発想を取り込んで、新しい製品やビジネスを創造していくために不可欠な要素である。徐々に、渋谷は最先端テクノロジーと文化の発信地としての性格を備えつつあるようだ。