今年10月、三菱地所と東京商工会議所、東京會舘が共同開発する「丸の内二重橋ビルディング」が完成する。多くの大企業が本社を構える国内有数のビジネス街の丸の内エリアで再開発が進んできた。「MICE」と呼ばれる国際会議やイベントにも対応し、丸の内は国際交流都市として生まれ変われることができるのか。

「格式」と「華やかさ」が特徴のプロジェクト

三菱地所と東京商工会議所、東京會舘が共同開発する「丸の内二重橋ビルディング」の外観。

2018年10月、東京の丸の内・有楽町エリアで巨大プロジェクトが完成する。旧富士ビル、東京商工会議所ビル、東京會舘ビルの跡地に地上30階、地下4階の規模で誕生するのが「丸の内二重橋ビル」だ。

三菱地所を中心に東京商工会議所、東京會舘の三団体で進めるこのプロジェクトは、2015年から着工され、三菱地所が今年竣工を迎えるプロジェクトの中では最大規模のものとなる。

3階の東京會舘エリアには2000名規模の大バンケット、5階の東商エリアには大会議室を擁し、MICE<Meeting(会議・研修)、Incentive(招待旅行、travel、tour)、Conference(国際会議・学術会議)またはConvention、Exhibition(展示会)またはEventの4つの頭文字を合わせた言葉>の誘致に力を入れるという。

計画ビルの断面図。

都内の丸の内エリア、大手町エリア、有楽町エリアは全体で120ヘクタール、東京ドーム約26個分のエリアで約100棟のビルがあるが、三菱地所はその約3割を所有・管理する。このプロジェクトはそもそも三菱地所が進める丸の内再開発の一環だ。

「馬場先通り一帯は当社にとっては非常に特別な場所です。最初に開発された三菱一号館をはじめ、2号館、3号館、と明治期の丸の内エリアの開発はこの一帯から始まり、徐々に東京駅の方に広がっていった。そうした意味でも、この一帯は歴史があり格式が高いエリアといえます。また、水と緑の景観が広がる皇居外苑と商業・文化色の色濃い銀座・日比谷・有楽町に近接し、ビジネスの中心地にいながら気品と賑わいの感じられるエリアでもあります。」(神林祐一・三菱地所丸の内開発部主事)

三菱地所は1890年に丸の内陸軍省用地並びに神田三崎町練兵場土地(約35万3000平方メートル)の一括払い下げを受けた。そこから赤レンガの建物が次々に建設される。ところが、第2次世界大戦が終わり高度経済成長に差しかかるとオフィスビル不足が深刻化。そこから高度経済成長の旺盛なオフィス床ニーズに応える為に、1950年~70年代に2回目の開発が行われた。