「五反田バレー」に企業が続々と集結
ベンチャー企業の間で今、東京・品川区の五反田が注目されている。スタートアップ企業が次々と五反田に集結しているからだ。その数はすでに40~50社だともいわれている。そのため周囲からは「シリコンバレー」ならぬ「五反田バレー」と呼ばれるようになっている。
6月には営業支援ツールなどを提供しているマツリカなど五反田で事業を行う有力ベンチャー企業6社が中心となって「五反田バレー」という団体作りに動き出し、7月25日には新団体の設立とともに品川区が連携協定の締結を発表した。品川区の担当者は次のように語る。
「品川区は、これまでも情報クラスターフェアの開催や交流事業の実施など、情報通信業の企業間連携支援を行ってきたが、今回の協定締結により、“五反田バレー”の認知度アップと五反田のブランディングによる更なる企業集積を図るとともに、ネットワーク構築による品川発の新たなイノベーション創出を目指す」(品川区地域振興部商業・ものづくり課産業活性化担当、小川和朗係長)
五反田が注目されるようになったのは2年半ほど前。それまでベンチャーの聖地といえば渋谷で、ITベンチャーはこぞって「ビットバレー」を目指した。
「渋谷の賃料がどんどんあがり、スペースもなくなっていきました。そんな中で賃料相場が安く、しかも交通の便のいい五反田に関心が集まるようになったのです」
こう語るのは不動産仲介業、ヒトカラメディアの企画営業部マネージャーの木幡大地氏だ。すでにココナラ、サーチフィールドなど30社以上のベンチャー企業に五反田のオフィスを紹介している。
「渋谷までは山の手線で8分。渋谷から徒歩8分の物件は家賃が坪単価3万円程度しますが、五反田駅から2分の物件では1万5000円程度のビルが普通にあります。移動時間がそれほどかわらないのに家賃が安いというのは魅力的です。もともと予算としてあった賃料の差額分を福利厚生にあてたりすることもできますし、ベンチャー企業というのは内装にこだわります。内装への投資に回すこともできます」(木幡氏)
五反田はもともと飲み屋街のイメージが強く、オフィスはあまり人気のある地域ではなかった。「ベンチャーでは非常に顔が広いといわれているココナラさんが五反田に移ったころから五反田の人気が急速に上がっていったのです」(木幡氏)
五反田は賃料以外にもベンチャー、中でもスタートアップにとってはいろいろありがたい特典がある。
まずは入居条件だ。通常大手町や渋谷などのオフィスビルは入居の審査で三期分の決算を求められ、赤字なら即断られる。しかし、スタートアップ企業というのは、最初は赤字が続くもの。それで断られたら入れるオフィスはない。
「五反田のビルオーナーは個人が多いですから、そんなスタートアップ企業の気持ちに寄り添いながら、対応してくれます。単に決算だけでだめだといわない人も少なくないのです」(木幡氏)
五反田は実は働く環境だけではない。住環境がすぐれているところにも人気の秘密がある。
「五反田の周辺には住環境も整備されています。職住一体で仕事をすることができますから時間を有効に活用できます。また渋谷、青山、代官山あたりにも住宅街はありますが、家賃が高い。そんなところからも五反田は人気があるのです」(木幡氏)
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