今や本場アメリカをしのぐお祭り騒ぎのハロウィン。パリピ(パーティーピープルの略)に追随して大騒ぎするパンピ(一般ピープルの略)もいれば、それに追随することなく、お祭り騒ぎで汚れた街を掃除するボランティアもいる。慶應義塾大学の小野晃典教授は、「三者三様な“リアル”の捉え方が、心理や行動の差異に帰結している」という——。(第1回/全2回)
写真=iStock.com/sandsun
※写真はイメージです

ハロウィンの流行と定着

10月31日は、ハロウィンです。読者諸氏の中にも、魔女やゾンビの仮装を経験したことがあったり、今年こそは仮装してみようかと考えたりしている方々もいらっしゃることでしょう。

ハロウィンは、クリスマスより相当に遅れて日本に輸入された海外文化でした。けれど、今や本場アメリカをしのぐほどの盛り上がりを見せています。なぜ、これほど盛り上がっているのでしょうか。

その流行は、クリスマスと同じく、マーケティングが契機となって始まりました。新しいものに商機を求める売り手、具体的には、原宿や川崎の商業施設、あるいは東京ディズニーリゾートが、ハロウィングッズを販売したり、客寄せのために仮装パレードを催行したりしたのです。彼らが、ハロウィンに対する日本人の理解と受容を促したと言って間違いありません。

しかし、もともと企業がマーケティングとして仕掛けたイベントだったとしても、ハロウィンは市民に受け入れられ、今では、地元企業が主導しているわけではなく、むしろ迷惑がっているのに、異様な盛り上がりをみせる渋谷のような例もあります。ハロウィンの仮装イベントが、単なる企業の見物という枠を超えて、訪れた人たち自らが仮装して参加することのできる現代の「祭り」として機能したからです。