OECD加盟国と比較する意味がどこにあるのか
菅官房長官も、総務省の調査データでは説得力がないと感じたのか、8月27日の記者会見では「日本の通信料金は、OECD(経済協力開発機構)の平均と比べても2倍近く高い」と言い始めた。
そもそも、OECDには、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国などの先進国もいるが、一方でギリシャ、アイルランド、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、エストニア、スロベニア、ラトビア、トルコ、チリ、イスラエルなども名を連ねている。果たして、こうした国と日本の平均を比べて、どんな意味があるというのか。日本の国力はそこまで落ちてしまったのか。
また、OECDの比較データを見ても、他の国はプリペイドプランであったり、データ容量が全く違うものが引き合いに出されていたり、比較に値しない料金プランが並んでいる状態だ。これで「日本の通信料金が高い」と言われても、説得力がまるでない。
果たして、総務省は、こうしたデータを携帯電話会社に突きつけて「値下げしろ」と迫る気なのだろうか。
日本の通信料金「高すぎ」のロジックはいずれ破綻する
つまり、実際は「日本の携帯電話料金は他の先進国と比べても、高すぎるわけではない」というのが事実だ。筆者は、アメリカの大手キャリアであるAT&TやベライゾンでiPhoneをポストペイドで契約したことがあるが、そのときも日本と同等もしくはアメリカのほうが高かったほどだ。
いまも、アメリカでグーグルが提供しているMVNOサービス「Project Fi」を契約しているが、15GBまで使って60ドルという値付けであり、日本よりも高いのは間違いない。
菅官房長官が「日本の通信料金は高すぎる」というロジックで携帯電話会社に値下げを迫るのはいずれ破綻が見えている。