妊娠・出産したら市区町村が「助成」をしてくれる

▼「妊婦健診費用助成」(妊娠~出産まで)

妊婦健診の回数は人によって違いますが、おおむね14回です。妊娠・出産は産婦人科にかかりますが「病気」ではないため、健康保険の適用外です。しかし、「妊婦健診費用助成」として市区町村が費用の助成を行っています。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kohei_hara)

東京都江戸川区では、1回目の健診(C型肝炎抗体検査を含む)に最大1万850円、2回目以降は最大5070円、超音波検査に最大5300円、子宮頸がん検診に最大3400円を助成しています。妊婦健診の1回あたりの費用は3000円~1万円程度ですので、江戸川区では費用のほとんどが助成されることになります。この助成額は市区町村によって異なりますが、江戸川区のように費用のほとんどを助成している自治体が多い印象です。

さらに、妊娠中・出産時にかかった医療費のうち、健康保険が適用されるものについても助成をしている自治体もあります。

栃木県宇都宮市では、母子健康手帳の交付月から出産した翌々月の末日まで、医療費が助成され、自己負担額は1つの医療機関ごとに月額500円。歯科医療も対象となるので、妊娠を機に治しておくとおトクです。

▼出産時「出産育児一時金」

出産時にかかる費用は平均50万円程度といわれています。こちらも病気ではないため、正常分娩の場合は健康保険の適用外です(帝王切開では一部保険が適用されます)。そこで、負担軽減のため、健康保険から「出産育児一時金」として、子ども1人につき42万円が支給されます(双子であれば84万円)。

単純に上記の費用のみがかかったと考えると、自己負担は8万円だけということになります。また、加入している健康保険組合によっては、出産時に「付加給付」という上乗せがあり、自己負担額が減るかもしれません。たとえば、ソニー健康保険組合では20万円もの付加給付があり、出産は「黒字」にできるのです。

▼会社員の人は「出産手当金」

会社に勤めている人は、産休中の給料が減額、もしくはゼロになった場合に健康保険組合から「出産手当金」が受け取れます。支給額は、休業前の給料の3分の2程度です。

▼標準報酬月額24万円の人(年収約350万円)が、産休中の給料がゼロだった場合
24万円÷30(日)=8000円<標準報酬日額>
8000円×2/3=5333円<1日あたりの支給額(支給日額)>
5333円×(最大、産前42日+産後56日)=52万2634円<支給総額>

くわしい金額は、協会けんぽのウェブサイトなどで確認できます。なお、専業主婦やフリーランス・自営業の人(国民健康保険の加入者)は対象外です。

妊娠・出産時にはその他にも独自に手厚い補助をしている自治体もあります。たとえば、東京都の渋谷区では「ハッピーマザー出産助成金」として、1人の出産につき10万円を給付しています(※出産一時金の付加給付が支給される場合は、その額を控除した金額)

妊娠から出産までの支援は、加入している健康保険や住んでいる地域によって違います。全員に共通しているのは、前述したように出産育児一時金の42万円と、妊婦健診費用助成の約10万円。つまり、少なくとも52万円は受け取れることになります。