良質なモノを安く買うことができることが「幸せ」なのか?
6月末、筆者はプレジデント編集部を訪れた。「プレジデント」(8月13日号)の特集「年収400万円父さんの極上家計簿入門!」内の企画、『「アマゾン達人」のおすすめ商品トップ58』というページに協力してほしいと依頼されたのだ。
編集部が厳選した「1万円以下かつアマゾン4つ星評価以上の人気グッズ」を6つのテーマに分類し、それぞれのお買い得度を10段階で評価し、買うに値するかどうかを判定する。私はFPであり、商品評価の専門家ではないが、お金のプロであること、また女性消費者の代表として呼ばれたようだった。
2時間以上かけ、編集部が取り寄せた60以上の品々を試した。運動系では、トランポリンで跳ね、バランスボードに乗った。食品系では、チキンささみやアーモンドフィッシュを賞味し、ビールサーバーでビールを、ワインエアレーターでワインも試飲した。
その評価コメントに関しては、誌面をご覧いただきたい。この企画のポイントは、単なるモノの評価ではなく、特集テーマの「年収400万円の人」にとって、それがお買い得か否かということである。
ムダなものは極力買わずにすべて貯蓄に回すべし
国税庁の民間給与実態統計踏査(2016年分)によると、民間給与所得者の年間平均給与が422万円。つまり「年収400万円」というのは、平均的な会社員の年収にあたる。
この年収400万円という数字はあくまでも額面金額だ。ここから、所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた場合、手取り額の目安は約8割の320万円、ボーナス込みの月収に換算すると約26万円。勤務先などによってはこれ以下という場合もあるだろう。
実家に同居の「おひとりさま」なら経済的余裕もあるだろうが、既婚で、住宅ローン返済があり、妻は専業主婦という世帯なら、家計は毎月ギリギリというケースも少なくない。
FPとしては、ムダなものは極力買わずにすべて貯蓄に回すべし、と考えているので、誌面での評価はやや辛口だったかもしれない。
そもそも筆者は、基本的にモノは持たない主義だ。理由は2つある。
ひとつは、20代後半のときに経験した世界一周旅行。単独で数カ月かけて世界中を旅行したのだが、その時の荷物は3泊4日程度のキャリーケース1つのみ。必要なものは、現地ですべて調達し、不要なものは、どんどん処分していった。とにかく移動が多かったため、いかに荷物を少なくするかに苦心する生活が続くと、「生きていくうえで、必要なモノというのは本当に少ないのだ」ということを実感した。