年収400万の人が1000万の人より幸せになれる理由
さらに、今回の特集には、「年収400万円」の人が、幸せな消費生活を送るためのヒントとなる興味深いデータがあった。「年収1000万円vs.400万円 ビッグデータ解析」である。
これによると、「人生の満足度」についての平均値は、年収が少ない人より年収が多い人のほうが高かった。収入は少ないより多いほうがいい、というのは当然だろう。
一方で、年収400万円未満でも満足度がとても高い人がいる。この人たちについて調べると、彼らは人生において「家族仲」「休日の充実度」「友人の数や友人関係」「異性関係」などを重視していることがわかった。
また、年収1000万円以上でも、満足度が極端に低い人がいる。満足度を押し下げた要因を調べてみると、「異性関係」であることがわかった。
要するに、相対的に年収が低くても、家族や友人、交際相手など人間関係が充実している人の満足度は高く、人生を幸福なものと感じられるようだ。
幸福度は「お金やモノ」ではなく「非地位財」の質と量で決まる
幸福度を考えるうえでは、「地位財」と「非地位財」の違いを理解する必要がある。
地位財とは、他人との比較優位によって価値が生じるもので、所得(お金)や社会的地位、さらにクルマやマイホームなどを指す。
一方、非地位財とは、他人との相対比較と関係がなく、それ自体に価値があり喜びを得られるものだ。休日(休暇)や友人関係、愛情、健康、社会への帰属意識など、いわゆる「プライスレス」なものである。
プレジデント誌のデータ解析では、「幸福の持続性」という観点で見ると、地位財は低く、非地位財は高かった。つまり、人生の幸福を決めるのは、その人が置かれた境遇や所得の多さ、持っているモノではない。買い物の快楽に象徴される「ウォンツ」に走ることなく、モノではない「非地位財」の質と量を高めるためにお金を使うことが、幸せになる近道だといえそうだ。