育児の支援は少なくとも15年間で198万円あり

つづいて、出産後の支援です。

▼「児童手当」

育児の支援といえば、やはり「児童手当」。現行の制度では、子どもの年齢が0~3歳までの間は1万5000円/月。3歳~中学生の間は1万円/月が支給されます。15年間を合計すると198万円ということになります(※第3子以降、3歳~小学生の間の支給額は、月額1万5000円)

使わずに貯めておくと、高校や大学に進学する際の費用を賄えるかもしれません。

ただし、児童手当の受給には、所得制限があり、おおむね年収が833万円以下であることが条件です。くわしくは、内閣府の「児童手当 所得制限限度額表」をご覧ください。

共働きの世帯は、所得が高いほうの金額で判断されます。夫婦の合算ではありませんので、多くの世帯で児童手当を受け取れるはずです。所得制限を超えた人には、15歳までの子ども1人につき、月額5000円が支給されます。

▼収入が少ない世帯への支援「児童扶養手当」「児童育成手当」

厚生労働省の調査によると、日本の「子どもの貧困率」は13.9%(2015年)と、先進国の中でも高い水準にあります。子どもの貧困率は、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす17歳以下の子どもの割合のこと。広島県の調査によると、生活が困難な子どもほど朝食をとらず、学習面でつまずく傾向が見られるそうです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Yagi-Studio)

現行の制度では、年収が365万円未満の母子家庭・父子家庭に対して「児童扶養手当」が支給されています。収入によって支給額が違いますが、年収160万円未満の世帯で4万2500円/月。年収160万円~365万円未満で、4万2490円/月~1万30円/月が支給されます。

市区町村によっては、これに加えて「児童育成手当」として独自の上乗せを行っているところもあります。たとえば、東京都新宿区では、月額1万3500円が支給されます(子どもに一定の障害がある場合は1万5500円)。

これらは、前出の「児童手当」とは異なる制度ですので、要件を満たしていれば、両方を受け取ることもできます。ただし、申請する前の分は支給されませんので、離婚や死別などで要件を満たす状況になった場合は早めに市区町村役場で申請する必要があります。

▼会社員の人は「育児休業給付金」

会社に勤めている人は、育児休業中に給料が支払われないケースが多いでしょう。というのも、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されるからです。

支給額は、育児休業開始から180日までは、おおむね休業前の給料の67%。181日以降は50%となります。育児休業給付金には、税金や社会保険料がかかりません。休業開始から180日までは、ほぼ休業前と大差ない収入が得られると考えて良いでしょう。ちなみに、健康保険の保険料も免除されますが、それまで通りの自己負担額で受診できます。

その他、子ども医療費を助成する「乳幼児・子ども医療費助成制度」や、私立幼稚園に入園する世帯の負担減を目的とした「私立幼稚園就園奨励補助金」などがあります。

子どもが小さいうちは、しばしば発熱し病院へ行く機会も多いと思います。そこで、多くの自治体では、子どもが中学生になるまでの医療費を助成しています。たとえば、東京都目黒区では、子どもが15歳に達したあとの最初の3月31日まで、健康保険の対象となる医療費の自己負担分の全てを助成しています。