少し似ているのが、(4)使わないスポーツ用品、特にゴルフクラブだ。

「たとえば40代の営業職時代に接待ゴルフで必要となり、クラブセットを買ったとします。50代で部署も変わり、定年退職後は1度も行かないし、行きたいとも思わない。この場合、場所も取って重いゴルフクラブを残す必然性はありません」

前述の役立つ・思い入れの視点で判断してもそうだ。もし本人が死亡後、遺族が片づける場合を考えても、捨てるべき存在といえるだろう。

また、現在はデジタル化し、40代が最後の利用世代といわれる、(7)いらない写真(紙焼き)は、写っている人と面識が薄い、ピントが甘い、似た構図のものは整理したほうがよい。

ものを捨てる場合に「思い出しすぎる」と捨てにくくなる。どんな意識で向き合えばよいか。坂岡さんは「5W1H」で考えればよいと説く。

「What」=これは何? 「Why」=なぜ、取ってあるの? 「When」=いつ、必要なの? 「Where」=どこで必要なの? 「Who」=誰が使うの? 「How much」=いくらしたの? だ。

最後の「How much」も、たとえば若い頃に海外旅行先で買った高い服があるかもしれない。その場合は「○年以上、着ていない衣類は捨てる」など自主ルールを課すとよい。○の中は7年や10年など、人によって違う。

一方、そうした範疇に入れにくいものもある。男性の場合は昔もらった、(10)女性からの手紙だ。当人にとっては、若き日の思い出だったり、過去自慢だったりするが……。

「甘く考えてはいけません。ある女性は、亡夫の遺品からラブレターが出てきて大変なショックを受けたそうです。結婚前のものでしたが、それでも『イヤなものはイヤ』。娘さんに『お父さんと同じ墓に入りたくない。樹木葬にして!』と宣言したそうです」

妻からの手紙は1通もなくて、昔の女性からの手紙は箱いっぱいだったそうだが、「量の問題ではなく、すぐにでも処分すべきです」と坂岡さんは、ほほ笑みながらも手厳しい。

捨てるよりも、あえて拾うべきもの

2人の専門家の「断捨離」を見てきたが、長年の会社員生活の経験から「拾うべきものもあります」とAさん(63歳)は話す。財閥系企業の管理・営業部門で役員を務め、子会社会長を経て最近フリーランスになった男性だ。

「在職中に、外部の人との人間関係をもっと大切にすればよかったと思います。たとえば管理部門のときに付き合いのあった専門家の方たち。海外営業では外国の人たちと頻繁に交流があったのに、目の前の仕事に追われ、個人的な関係を深められませんでした。それが悔やまれます」