▼所得区分が「現役並み」の場合

これまでよりも大幅に負担が増えるのが「現役並み」の人たちだ。

まず、17年8月は通院の限度額が見直されて、4万4400円から5万7600円に引き上げられた。さらに、18年8月からは通院のみの限度額はなくなり、通院と入院の両方をした場合に一本化される。同時に、「現役並み」の所得区分は3つに細分化され、次の限度額になる。

(A)年収約370万~約770万円⇒【8万100円+(医療費-26万7000円)×1%】/多数回該当4万4400円

(B)年収約770万~約1160万円⇒【16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%】/多数回該当9万3000円

(C)年収約1160万円~⇒【25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%】/多数回該当14万100円

備えるべきは「医療費貯蓄」

たとえば、医療費が100万円だった場合の自己負担額は、Aが約9万円、Bが約17万円、Cが約25万円になる。通院のみで比較すると、17年7月までは4万4400円でよかったものが、18年8月以降は約9万~約25万円と大幅に増えることになる。

これまでは、高齢になると誰でも医療費の負担は軽くなったが、今後は高所得層には現役世代と同様の負担が待っているということだ。

今回の高所得高齢者の限度額の見直しは、70歳未満の人に揃えたもので、世代間格差をなくす観点では公平になったともいえる。だが、実際に引き上げ対象となった世帯が不安に思うのは当然で、これまでとは異なる医療費準備が必要になるだろう。

そこで、おすすめしたいのが「医療費貯蓄」だ。医療費専用の銀行口座を作って、手持ちの預貯金の一部を別建てで管理しておくのだ。高齢になると病気やケガをする回数も多くなるが、入院だろうが、通院だろうが、自分の貯蓄ならいつでも自由に引き出して使うことができる。病気やケガをしなければ、そのお金は生活費や将来の介護費などに使えるので、医療費以外のリスクにも対応できる。

70歳以上の高齢者の医療費負担が増えているのは事実だが、一律に引き上げられているわけではない。わが家の場合はどうなるのかを確認してみよう。

早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
フリーライター
新聞、雑誌等に医療や社会保障など身の回りのお金の問題を寄稿。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』などがある。
(写真=iStock.com)
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