「日本の医療費が中国人に食い物にされている」
ある大富豪が「青いキリンを見せてくれたら、莫大な賞金を出そう」といった。
日本人は昼夜を問わず品種改良を重ね、青いキリンをつくった。
中国人は青いペンキを買いに行った。
これは『中国人vs日本人』(早坂隆著・ベスト新書)に出ているジョークである。
私だったら、中国人は日本人がつくったキリンを盗んで持って行ったとするのだが、それではジョークにならないか。
断っておくが、私は嫌中派ではない。観光旅行を含めて中国へは20回近く行っている。北京の胡同、三国志の時代を彷彿させる上海の朱家角、杭州の西湖から見た夕日、西安の屋台街など、中国ならではの街並みや味をこよなく愛する者である。
だが、『週刊現代』(5/26号、以下『現代』)が巻頭で報じている「日本の医療費が中国人に食い物にされている」を読んで、私の中にある振り子が嫌中側へやや傾いた。
「明らかに観光なのに保険証を持っている」
『現代』の内容をかいつまんで紹介しよう。
日本語が全く話せない70代の中国人患者が息子と日本の病院にやってきて、脳動脈瘤の手術をした。自由診療なら100万円から200万円はかかる。だがくだんの患者は健康保険証をもっていたため、高額療養費制度が使えた。自己負担は8万円程度だったという。
この患者は、日本で働いていたのでも、日本語を学ぶために留学していたわけでもない。
だが、留学ビザを取得すれば、日本では国民健康保険(国保)に加入する“義務”があるため医療保険が使えるのだ。以前は1年間の在留が条件だったが、12年から3カ月に短縮された。日本語を学びたいといって申請すれば、70歳でも80歳でも取得することができるのである。
新宿の在留外国人がよく利用する国立国際医療センターの堀成美は、「明らかに観光なのに保険証を持っている『不整合』なケースは年間少なくとも140件ほどある」と語っている。
来日してすぐの留学生が病院を訪れて、高額な医療を受けるケースもあるが、「深刻な病気を抱えている人は留学してきません。もともと患っていた病気の高額な治療を求めて受診するケースでは、治療目的なのかと考える事例もあります」(堀)