60歳で逆転する夫婦のパワーバランス
夫が就労している場合には、その分の稼ぎがあるから幸せでいられるという理由もあるかもしれません。しかし、本人と配偶者の就労状況の組み合わせによって幸福感を比較してみると、「妻本人も夫も就労」のいわゆるダブルインカムの状態よりも、「妻本人は非就労で、夫は就労」の場合の方が幸福感が高かったのです。
まさに、「亭主元気で留守が良い」が実証されているといってもよいでしょう。
一方、男性は、「自分が働いていようがいまいが、妻が働いていようがいまいが、妻がいれば幸せ」という状況が見えました。本人および配偶者の就労状況に関わらず、配偶者がいる男性は、配偶者がいない男性よりも幸福感が高いという結果だったのです。
夫婦のパワーバランスも気になるところです。夫婦間でどちらの意見が通りやすいかを質問したところ、図のように、50~59歳では、「いつも夫」と「だいたい夫」を合わせた、夫の意見が通りやすいと回答している人の割合が多いのですが、65~69歳では逆転し、妻の意見が通りやすいという割合が多くなっています。
これらの結果は、高齢期の入り口で経験する定年退職という一大ライフイベントが夫婦関係に及ぼす影響を顕著に示しているといえます。この時期には、夫婦は次に挙げるような変化を経験します。