利益率の高い商品を継続的に買ってくれそうな顧客に優先的にアプローチし、残業が減り、モチベーションが上がり、若手社員が早く成長し、会議が活発化して全員がアイデアを出すようになってくれれば、営業効率は何%かの改善が見込める。業務システムの導入費用や、コミュニケーションツールの講師代など、それを考えれば微々たるものだ、と大企業には“わかる”のです。

「すごいスピードでの成長」は超絶ブラック企業かも

一方で、残念ながらほとんどの中小企業では、このような数値管理や人材育成の投資を行っていません。

昨今は、どの業界でも人材が不足しているので、優秀な人材の取り合いになっています。人材は企業の生命線です。良い人材が採れるかどうかで企業の未来が決まるといっても過言ではありません。

どこかの飲食チェーンのように、社長から「24時間365日働け」と強要されたり、どこかのITベンチャーのように、「うちは1年目から責任の大きな仕事を任せるから、凄いスピードで成長できるよ」と誘われて行ってみたら、長時間のサービス残業が当たり前の超絶ブラックだったりするような企業は、今ではまったく通用しません。瞬く間にネットで晒され、即アウト。優秀な人材からそっぽを向かれます。

それがわかっている経営者は今、福利厚生を手厚くしたり、給料をよくしたり、オフィスを格好良くするだけでなく、リモートワークやフレックス制度などワークライフバランスの重視、女性の活躍を支援する制度など、働き方改革に力を入れています。

企業と社員の関係性は、景気や時代によって変化します。人材不足の今は、主役は社員なのです。良い企業であるほど社員を大切に扱っています。

三戸政和(みと・まさかず)
株式会社日本創生投資代表取締役CEO。1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先にてM&A戦略、株式公開支援などを行う。2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行っている。また、事業再生支援を行う株式会社中小事業活性の代表取締役副社長を務め、コンサルティング業務も行っている。
(写真=iStock.com)
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