中小企業の生産効率が低いわけ

業務システムというのは業務上の無駄を省いて効率化したり、労働時間を短縮したり、生産性を高めたりすることで、企業の利益率を高めるために導入するものです。

たとえば、マネジメントがずさんな営業の現場では、

・得意顧客ばかり頻繁に訪問し、苦手な顧客にはアプローチしない。
・ダンピング競争が進んでいる利益率の低い商品を一生懸命営業している。結果、売れば売るほど赤字が膨らむ。
・複数の営業マンがそれぞれ別のルートから同じ企業にアプローチしている。顧客情報が共有されていない。
・営業マンによってやり方が違う。
・自らの産業の動向には詳しいが、クロスセルできるようなほかの産業の動向には疎い。
・客先で受注を受けても、一度会社に戻ってからでないと受注手配ができない。
・部下に仕事を教えない。教えられない。「見て覚えろ」というスタイル。

といった“非効率”がそこかしこに存在しています。

そこで、顧客情報を管理・共有したり、業務フローを普遍化したり、業務を通じて早く効率的に成長できるOJTを導入したり、クラウドによってどこからでもリモートでシステムにアクセスできるようにしたりすることで、営業の機会損失や無駄を減らすことができるのです。

三戸政和『サラリーマンは300万円で会社を買いなさい』(講談社)

また、業務システムだけでなく、組織力を高める「チームビルディング」や、部下に対して自らの気づきにより自己成長を促す「コーチング」、会議の参加者全員の意見・アイデアを引き出す「ファシリテーション」、社員のモチベーションを高める仕組み、良いところを伸ばすための評価システム、人と人とのコミュニケーションのツール等々を導入することで生産性を上げることができるのです。

こうした業務システムやコミュニケーションツールの多くは、今ではクラウド化が進んでおり、中小企業の経営体力でも問題なく導入することができます。

しかし、新しいことを覚えるのは誰でも面倒臭く、メンバーの反発もあります。中小企業では、そもそもそんなシステムの導入は検討すらしていない先がほとんどです。そんなことから、進歩を続ける大企業に比べ、なかなか生産効率が上がってこないのです。

だから大企業に良い人材が集まる

大企業がこのようなシステムを導入するのは、経営を数値管理できているため、投資対効果がプラスになると計算できるからです。