人生の節目の前に、弁護士に相談を
離婚を考える際、重要なのは「基準日」だ。別居を始めた日か、離婚した日、どちらか早いほうが基準日となり、この日時点の合算資産を2人で分けることになる。自分から別居するなら、いつにするか戦略的に決めるべきだ。とはいえ別居の前日に、大金を銀行口座から引き出すなどの行為は怪しまれ、調査されるだろう。一方、飲み屋で毎月5万円程度しか使っていないのに20万円近く使ったといい、差額を隠し口座に貯めるなどして財産隠しに事実上成功しているケースはある。
情報戦を制するためには、相手に情報を与えないほうが有利だ。銀行や保険会社などから送付されたものは自宅で開封しない、家でパソコンは使わない、スマホのパスワードは定期的に変更する、メールのやりとりは必要最低限にして履歴はこまめに削除する、履歴が残りやすいSNSの利用は避ける、などが実行しやすい対応策である。
相手の隠し財産を探す際、弁護士は各種照会等を行うことができるので、「不動産の住所、預貯金がある金融機関名と支店名、株式の取扱会社名、積立保険のある保険会社名」といった照会手続き等を進めるために必要な最低限の情報は把握しておくべきだ。役所や金融機関から配偶者宛てに送付されたものが開封されて出しっ放しになっていたら、記載されている情報を控えておくとよい。
離婚は、法律知識ゼロの状態で取り組むと損をする可能性がある。女性は、子どもの進学や就職、夫の定年といった「イベント」を機に離婚を考えることが多い。離婚されそうだと自覚している男性は、こうした「イベント」の数年前に1度は弁護士に相談しておくべきだろう。