社長の思考の速さについていけなくても気にしない

「『あれはどうなってる?』と突然、質問されたりすることがよくあるわけですが、私が答え始めたときには、もう違うことを考えているんですね(笑)。答えを聞いていないんです。これはしょっちゅうありますね」

うんうん、と聞いているようには見えるのだという。しかし、聞いていない。

「もう次のことを考えているんです。これは電話でもよくあって、電話がかかってきても別の電話に出ていて取れないことがありますが、切れたと思って掛け直しても、3回に2回はつながらない。もう次のアクションに移行している。こういうときは、気にしないことにしています」

無事に進んでいるのであれば、答えはどうでもよく、聞いたことに意味があったのだ。そして、問題ないとわかる、という目的が果たされれば、思考はすぐに次に進んでいくのが、超多忙な社長の姿なのである。それに対して、「どうして」などと思ってはいけないのだ。

経営トップとの「報告・連絡・相談」は、簡単にはいかない。それなりの意識がいる。できる人は、それをよく考えているのだ。

上阪徹(うえさか・とおる)
ブックライター。1966年兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに雑誌や書籍、webメディアなどで幅広く執筆やインタビューを手がける。これまでの取材人数は3000人超。著書に『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)他多数。
(写真=iStock.com)
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