「そのためにも、感覚だけでものを言わないようにしています。データなのか、状況なのか、必ず背景となるものを付け加える。これは“確認して”と言われるな、“この情報が欲しい”と言われるな、と想像ができたら、最初から付けておく」
そういうときは、できるだけわかりやすく、1枚の資料をPDFで添付するという。
ミーティングは「最初」がポイント
ミーティングをめぐる「報告・連絡・相談」も、注意しなければならないところだ。DeNAで会長室に勤めていた中井雄一郎さんは、やってはいけないのは、何を話すのかよくわからないまま、ミーティングに入ることだと語っていた。
「30分、1時間のミーティングで冒頭からダラダラ話して、最後に優先順位の高い話があったら、とんでもない時間のロスです。それなら、最初から見せて、この話とこの話を聞く、と重要なことを決めておいたほうがいい」
そのために中井さんが意識していたのは、どんなことでもすばやく資料に落とすこと。作るスピードを上げることだ。
「早く渡したほうがいい情報はどんどん進めていく。情報の鮮度はとても大事にしています。逆に、急がなくていいものは急がない」
なんでもさっさとやる、を基本にしているというが、パワーポイントもすばやく資料が作れる工夫をしている。表や書式を最初から自分なりに作って、マスターに入れておくのだ。
世界的な建築家、隈研吾氏の隈研吾建築都市設計事務所の社長を任されている横尾実さんは、多忙を極める隈研吾さんができるだけすばやく意思決定ができるよう、意識している。
世界を飛び回る隈氏は、日本では分刻みのスケジュール。“このデザインのチェックをするのに5分”“3時45分から50分まであのプロジェクトの確認”……なんてことが、本当に行われているという。
優先順位を共有する
「でも、5分でけっこう物事は決まっていくんです。スタッフ自身も、隈に時間がないことはわかっていますので、短時間でいかに効率良く決定に導くか、しっかり考えて打ち合わせをしていますね」
最終的には、いろんな人の意見を聞きながら決めていくというが、横尾さんたちが意識しているのは、答えをできるだけスムーズに短時間に引き出すこと。
「決断をより早くするために、オプションをいくつも用意していく、ということが重要になります。隈自身、たくさんのデザインを決定しないといけないので、オプションも一緒に考えていく時間はありません」