「実際には、全部やってほしいと本当は思っていると思うんですね」

ただ、すぐには動けないときも多い。メモしてリスト化しているものの、忘れたふりをすることもある。日々、いろんなことを思いつき、伝えたくなるのがトップ。すべてには応えられないからだ。

「だから、優先順位の高いもの以外でも、同じことを3回言われたら、“これは本気だ”と思ってやるものとかもあります(笑)」

できない、は言わない。びっくりするようなときは、理由を聞き出す。そうすれば、何か突破口のヒントがもらえたりするからだ。

松本会長の口癖“THINK BIG”

2016年から始まったテレビCMは、どうしてもやりたい、と自分で粘った。だが、簡単にはOKはもらえなかった。

「2カ月くらい、しつこくお願いしました。(社長は)根負けだと思います(笑)」

2017年4月、急成長したフルグラは本部になり、その本部長に就任。執行役員になり、組織上もダイレクトになったので、これまで以上に松本氏に相談しやすくなった。だが、目標はさらに上がった。国内500億円。海外1000億円。ほんのちょっと前まで、30億円のブランドだったのだ。だが、目算はあるという。

「よく言われた言葉に“THINK BIG”があります。そんな小さな話をしてるんじゃない。もっと大きな話をしないといけない。でも、実行するときには、慎重に緻密に情報を集め、準備して打って出る。バクチ的なことはしない。それは身に染みて学びました」

おそらく一生で一度きりの学びをこの数年間で得られたと藤原さん。

「ただ、どこで呼び出しが来るかわかりませんので、予定の調整には苦労します(笑)」

上阪徹(うえさか・とおる)
ブックライター。1966年兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒。ワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに雑誌や書籍、webメディアなどで幅広く執筆やインタビューを手がける。これまでの取材人数は3000人超。著書に『書いて生きていく プロ文章論』(ミシマ社)、『JALの心づかい』(河出書房新社)、『10倍速く書ける 超スピード文章術』(ダイヤモンド社)他多数。
(写真=iStock.com)
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