偉くなりたいなら本を読みなさい

儲かっている会社と儲かっていない会社の違いとは何か。それは儲けることにこだわっているかどうかです。会社の経営はもともと難しいものではありません。問題点を見つけるときも、複雑に考える必要はありません。儲けるという目的意識で見ると、答えが出てきます。たったこれだけのことで180度結果が違うのです。

カルビー会長兼CEO 松本 晃氏

そのために必要なことは、学び、学んだことを考えること。そして、何事も目的意識を持ってやることです。目的なしに学んでも意味はありません。

私は大学時代、オペレーションズリサーチを学びました。もともとアメリカで生まれ、どうしたら戦争に勝てるのか、つまり、どうすれば目標を達成できるのかを研究する学問です。戦争の目標は勝つこと。ビジネスも最初に目標を決めて勝つことが大事なのです。

その意味で、会社で一番面白い仕事ができるのはトップです。とくに大企業は、偉くならないと本当に面白い仕事はできません。

トップになる条件は、ジェネラリストであることです。ジェネラリストはエキスパートではないので、何でも詳しいというわけではありません。しかし、基本的にわからないことがあってはいけません。そのためには自分で学ぶしかないのです。

私がマネジメントを本格的に学び始めたのは1986年、39歳で子会社に出向したときのことです。潰れそうな会社の立て直しを任されました。そのために自分でやれることは何でもやりました。45歳までの6年間は非常に勉強になりました。

そのとき、実際の仕事で学ぶと同時に、多くのことを本から学びました。とにかく面白そうな本を買ってきて、手当たり次第に読んでみるのです。面白くなければ、捨てればいいのです。ただ、私の場合は面白くても読み終わったら本は捨ててしまいます。捨てるからこそ、真剣に読むのです。

私の本の読み方にはルールがあります。まず30ページ読んでみる。そこで面白いかを判断します。面白くなければゴミ箱行きです。よく読むのは、経営に役立つような本です。新聞も雑誌もいいとこ取りです。目を通せるものは、すべて目を通します。とくに本や雑誌はそれほど高いものではないので、どんどん買えばいい。経験が増していくと、パッと見て「これ、面白い」とすぐにわかるようになります。

もう一つ大事なことは、人との出会いです。いい人と会って、いい話を聞くことで学ぶことも多くあります。そのために積極的にアプローチすることもありますし、講演会に行くこともあります。思い返すと、自分の上司からも様々なことを教わりました。商社時代の上司からは、怒られながらたくさんのことを学びました。厳しい上司の言葉ほど強く記憶に残っています。