この流れを受けた「フォースウェーブ」を、鈴木氏はこう見通している。

「たとえば、現在最高級のコーヒー豆『パナマ・ゲイシャ』の同じ農園でも、栽培場所の違いや栽培方法の違いにこだわるようになってきた。私は毎年、コーヒーオークションで高品質の豆を入札し、サザコーヒーで販売していますが、年々それを感じています」

サザコーヒーが販売する「パナマ・ゲイシャ」。

鈴木氏の話に出た「パナマ・ゲイシャ」とは、まだ一般になじみがないが、現在最高級の豆だ。アフリカ・エチオピアの“ゲシャ村”で発見されたので「ゲイシャ」と呼ばれるようになり、同村と環境条件が似た中米・パナマで生産されるコーヒー豆をいう。よく聞かれるが「芸者」とは関係ない。そうした由来ゆえ、コスタリカ産やコロンビア産など、「ゲイシャ」品種はほかにもある。その中でもパナマ産は最高級で、超高値で取引されるのだ。

「誰が淹れたコーヒー」か?

近年、国内各地のこだわりのカフェやコーヒー豆の販売店が、実店舗やインターネットで、希少価値の高い「ゲイシャ」品種を販売している。

この豆の勢いを象徴する事例が今年あった。9月に行われた「バリスタ」(コーヒー職人)の国内選手権「JBC2017」(ジャパンバリスタチャンピオンシップ)決勝進出者の6人が、全員「ゲイシャ」品種を用いて、抽出技術やプレゼンテーション技術を競ったのだ。鈴木氏はこの流れがさらに進み、フォースウェーブコーヒーにつながると予測する。

「農園の『見える化』と同時に来るのは、『誰が淹れたコーヒー』かです。その頂点に立つのは『チャンピオンが淹れたコーヒー』ですが、国内外の大会の上位入賞者が淹れたコーヒーも話題を呼ぶでしょう。また、コーヒー機器も進化しており、バリスタの各大会“世界王者”と連携して、王者の抽出方法を設定できる機械も開発されています」(同)

これはあくまでも「仮説」だが、真実味はある。鈴木氏は年間約150日、多い年は200日近くコーヒー生産国に足を運び、国内外の生産者やキーパーソンと交流。さまざまな「情報」も入手しているからだ。