各紙に出遅れた産経社説の緩さ
最後に11月25日付の産経新聞の社説(主張)を挙げる。
社説の最後で読売社説と同じように「背任容疑」を書いているが、やはり書いている内容が甘くて緩い。
「近畿財務局の担当者らは国有地を格安で学園に売り、国に損害を与えたとする背任容疑などで告発されている。立件はハードルが高いが、まず政府が丁寧な説明をし直すことが欠かせない」
「政府の丁寧な説明」の段階はもう終わった。新聞社説としては毎日社説のように関係者の証人喚問の実施を訴えるべきだ。
さらに「撤去費用の単価が妥当か確認できる資料もなかった。国有地売却が、このようにどんぶり勘定で扱われている」と指摘し、見出しをここから取って「どんぶり勘定に疑念残る」としているが、斬新さに欠ける。
産経の社説は、毎日、朝日、読売がすでに社説を書いた後だ。書き手である論説委員の頭の中には他紙の書きぶりが残っているのだろう。どうしても論調が弱くなる。各紙が横並びで書いたときには、各紙のスタンスがはっきり出てくるが、遅れた場合には主張がしづらくなる。今回の産経も苦しい内容だった。これでは読者を増やすことはできないだろう。