今後メディアはどう変わっていくのか
藤田社長は「誰も何も言ってないのに、勝手に周囲がいろんなことを気遣ったり何かを恐れたりして腫れ物に触るような空気があった」と振り返っている。元SMAPの3人を起用することで、ジャニーズ事務所の怒りを買うかもしれない。つまり、これまでの地上波テレビと芸能界を覆う「忖度」と「しがらみ」だ。それを「正面突破」したことで、視聴者のニーズに応える番組を作ることができたと言える。
「誰にも止められたくない」という思いが強くあったため、番組の正式発表が行われた9月まで、藤田社長を除けば2、3人しかこの企画について知らなかったという。裏返せば、それだけ止められる可能性が高かったということだ。インターネットだって完全に自由というわけではない。事実、この番組にも吉本興業やホリプロ、レプロなどの大手芸能事務所がタレントを出演させていない。そもそも3人は「SMAP」という言葉すら発しなかった。
「強い気持ちで、次の階段を上っていかないといけない。もっと強くなって前に進んでいきたい。また前向いて頑張っていきます」
スポーツ報知 11月6日
同番組の最後のプログラムとして行われたのは、約2時間にわたる72曲メドレーだった。ここでも新たな試みとして、草なぎと香取がパーソナリティーを務めるラジオ番組『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm)が、メドレーの半分ほどを生中継した。エンディングでは、『72時間ホンネテレビ』に出演したキャストたちやファンからのメッセージが流された。森且行からのメッセージが流れたとき、元SMAPの3人は涙を流していた。
とはいえ、まだ3人はスタート地点に立ったばかりだ。AbemaTVも(番組で太田光が藤田社長に言ったように)まだ赤字を抱えているという。たしかにサイバーエージェントの通期決算をみると、昨年度のAbemaTV 事業は209億円の赤字だった。これから3人がどのような「新しい地図」を描いていくのか、地上波テレビも含めたメディアはどう変わっていくのか。今回の番組がひとつの大きな転機になるだろう。