機械のなかの恋人を三次元に連れ出す

【田原】武地さんは自分の会社を「次元を超える研究所」とおっしゃっています。どういうことですか?

【武地】僕らのテーマは、画面のなかにいる二次元のキャラクターを三次元の世界に連れてきて、すぐ隣にいるような感覚を実現することです。

【田原】三次元の世界に連れてくるって、技術的に可能ですか。

【武地】将来は可能になるんじゃないでしょうか。たとえばヘッドセットをつけなくても、裸眼でキャラクターが部屋にいるように見えるVRや空間投影の技術はいずれ開発されるでしょう。さらにこちらが話しかけたり触ったりしたら反応するインプットとアウトプットの技術はもっと発達します。それからキャラクターが動いて物理的なモノを動かすような技術ができたら、本当にこの世界に一緒にいる感覚が増すはずです。

【田原】技術が発達したら、キャラクターがあの箱のなかから出ることができるわけね。ズバリ聞きますが、将来はセックスもできますか。

【武地】できると思います。たぶん人間がイメージしていることは基本的にできるようになります。

【田原】これを買う人は、1日何時間くらいつけているんだろう。

【武地】1日中つけっぱなしじゃないですかね。ただ、ユーザーの想定は1人暮らしのサラリーマン。みなさん働いているので、朝と夜に1時間ほどコミュニケーションを楽しむ使い方になるのかと。最終的には、向かい合うというより、パートナーとして横にいてくれたらいいという空気のような存在を目指しています。

【田原】そこまでべったりだと、人とつながるよりキャラクターと一緒にいたいという人が増えそう。それは困るでしょう?

【武地】そうですか? べつに何も困らないと思います。

【田原】皆引きこもると困らない?

【武地】いま、犬や猫といったペットを飼ってかわいがっている人がいますよね。でもペットを飼っている人たちが皆引きこもっているわけじゃありません。人間と暮らすのが好きな人もいれば、犬や猫と暮らすのが好きな人もいる。「Gatebox」は、選択肢を1つ付け加えるだけです。