異業種の知恵を結集

東芝が主導し、約100社の日本企業がIoTサービスの共同開発に関する連合を結成する。IoTとは、家電をはじめとする様々なモノがインターネットに接続され、画期的な新サービスが生まれるという次世代技術。エアコンの稼働状況から、単身高齢者の異変を察知できる見守りサービスがその一例である。

「生き残りを図る東芝のための連合」という意味合いが強い?(時事通信フォト=写真)

ただ、これまでの開発は各社独自のもので、異なる規格が乱立。連合を組めば共通規格で異なるメーカーの機器を組み合わせられ、汎用性が高まる。また、共同開発ならシステム構築などをゼロベースから進める必要もなく、実用化も早まる。

東芝は2019年度中に一般社団法人を設立し、自社のIoTシステムを公開、内外の企業や大学、個人が開発に関与できるようにする。京セラやKDDI、ソフトバンク、デンソー、東京ガスなどが参加の意向だが、技術系雑誌で長い取材経験を持つジャーナリストの伊藤元昭氏はこう語る。

「IoTシステムの構築には異業種の知恵の結集が不可欠。応用分野が雑多で、実現手段も多様だからだ。その意味から、東芝の取り組みは正しい。ただし、日本電気や富士通などの直接の競合先は参加しておらず、生き残りを図る東芝による東芝のための連合という意味合いが強い」

要は、オールジャパンの「ワンチーム」とはなっていないわけだ。

(写真=時事通信フォト)
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