「本業転換」を成功させるには

企業には、収益の核となる本業があります。しかし、本業はいつまでも続くとは限りません。事業にも、導入期→成長期→成熟期→衰退期というライフサイクルがあるからです。しかもそのサイクルは、技術の変化やグローバル化などを背景に、短くなっています。テレビを例に言えば、ブラウン管の時代は約100年続きましたが、その後に登場した液晶は、今後、有機ELへの代替が順調に進めば、10~20年ほどしかもたないかもしれません。

2006年、富士フイルムはヘルスケア予防領域に事業を拡大した。(時事=写真)

そこで重要になるのが、本業を変えること=「本業転換」です。例えば、富士フイルムや日清紡などは、写真フィルムや紡績という本業が衰退する中で、本業を転換することで会社の存続に成功しました。一方で、本業を転換できずに消滅した企業もあります。

本業転換は欧米企業でも見られます。例えば、かつてメインフレームで世界を制覇したIBMは、売り上げの大半をハードからソフト・サービス業に転換してきました。また、携帯電話で有名なノキアの前身は、製紙・長靴メーカーでした。そして現在は通信インフラの企業に変身しています。