しかし読売社説は「外相には、河野太郎・前国家公安委員長が起用された。途上国援助の削減が持論で、外交手腕は未知数だ。6日からの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議で早速、真価が試されよう」と書いただけだった。

北朝鮮好きな産経は「敵基地攻撃能力」を主張

読売と同じ保守系の産経新聞の社説は、「北の脅威から国民を守り抜け」とのサブ見出しを付けて次のように論を展開する。

「喫緊の課題として、安倍政権がさらに力を入れるべきは、北朝鮮にいかに対処するかである」

「核開発を進め、大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを日本の排他的経済水域(EEZ)へ撃ち込んでくる。脅威の度合いは格段に増している。戦後最大級の国難に直面していることを自覚しなければならない。日本に対する軍事攻撃さえ懸念すべき状況にある。防衛相経験者の小野寺五典氏を再び起用したのは妥当だろう」

北朝鮮問題が最大の課題ということには沙鴎一歩も賛成である。だたし「小野寺五典氏を再び起用したのは妥当」とまで評価できるだろうか。少しばかり論がゆがんでいないだろうか。

「具体的に何をすべきか。それは防衛体制の抜本的強化にほかならない。弾薬の備蓄増は自衛隊の抑止力を高める。これまでも合憲とされながら見送られてきた敵基地攻撃能力の保有を決断し、整備を急ぐ必要もある」

「敵基地攻撃能力の保有」とまで主張するところなどは、“右翼新聞”とまでいわれる産経らしいと指摘されても仕方がないだろう。

「圧力」で核・ミサイル戦力を放棄させられるか?

「河野太郎外相は『国民の平和、安全を守る』と語った。ならば国際社会とともに最大限の圧力を北朝鮮にかけ、核・ミサイル戦力を放棄させなければならない」

北朝鮮は「最大限の圧力」によって核・ミサイルの開発を中止するような国ではない。産経もそのことは承知のはず。それなのにここで「最大限の圧力」を持ち出すのは、読者を欺いている。

最後にひと言。朝日社説も含め、全国紙の社説はどれも、今後の政治の最大の焦点になる政界再編成について触れていない。安倍改造内閣の発足からわずか4日後の8月7日には、小池百合子都知事に近い衆院議員が「日本ファーストの会」の設立を発表している。それなのに改造内閣の社説では政界再編を示唆する言及がなかった。読者は不満をもっているはずだ。猛省をうながしたい。

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