事業も恋愛も「継続」した

一方で、ひとりの男性としての彼は3度の結婚をしました。最初の妻・エセルとは長年の婚姻生活の後、破たんしています。自伝では「35年の幸せな結婚生活の後に、5年のつらい歳月を過ごし、やがて離婚を迎えることになる」と綴っています。

その後も恋愛はしており、自伝ではそうした経緯も明かしています。恋い焦がれた後、一度はあきらめたジョニという女性(マクドナルドFC店オーナー、ロランド・スミス氏の妻)と5年ぶりに再会した時の心境はこうでした。

「ああ! 私は初デートの前の10代の少年のような気持ちだった」

この時、クロックは65歳(か66歳)。ジョニをあきらめて別の女性(ジェーン)と再婚していた既婚者でした。このように仕事も恋愛も“超肉食系”と称されるクロックは、女性からは「業績のすごさは認めるけど男性としては…」と敬遠される一面もあります。

決して四角四面の人ではないクロックが、繰り返し唱えたのは「継続」でした。

「この世界で継続ほど価値のあるものはない。才能は違う――才能があっても失敗している人はたくさんいる。天才も違う――恵まれなかった天才はことわざになるほどこの世にいる。教育も違う――世界には教育を受けた落伍者があふれている。信念と継続だけが全能である」
(『成功はゴミ箱の中に』より)

「絶対に失敗しない唯一の方法は成功するまであきらめないこと」に通じる“信念”です。

レイ クロック(Raymond Albert Kroc/1902-1984)
1902年米国・シカゴ郊外のオークパーク生まれ。高校中退後、ペーパーカップのセールスマン、ピアノ演奏者、マルチミキサーのセールスマンなどで働く。1954年、マクドナルド兄弟と出会い、「マクドナルド」のフランチャイズ権を獲得、全米展開に成功。1984年には世界8000店舗へと拡大した(現在「マクドナルド」は世界118の国・地域に約3万店を展開)。後年にレイ・クロック財団を設立。メジャーリーグのサンディエゴ・パドレス獲得など精力的に活動した。
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