ほかに、正誤問題正答率のランキング上位は、以下の面々だ。
正誤問題正答率の全国トップは奈良県。京都が着倒れ文化、大阪が食い倒れ文化とするならば、奈良は「寝倒れ文化」の県と言われる。大仏目当てに押しかける観光客を相手にしていれば、苦もなく生活できたからだ。「しかし、それは旧奈良県人の姿です」と矢野氏。近年、大阪のベッドタウン化が進んだことで、奈良県民像に変化が生じているという。
「今の奈良県民は、大阪出身の人、大阪に通勤通学する人が多く、彼らは買い物上手です。1年間の収入に対する預貯金の割合も全国4位で、よく貯め込んでいます」
正誤問題正答率2位の香川県は、抜け目のない「へらこい気質」。利己的でこざかしく、要領がいい。夏の降雨量が少なく大きな河川もないことから、慢性的な水不足に悩まされており、その備えとして多くのため池を築いてきた。当然、お金にもシビアで、「お金について長期計画を立てる人の割合」で3位、「緊急時に備えた資金を確保している人の割合」で4位に食い込んだ。「出世欲も強いと言われ、人口あたりの東大卒業者は全国2位。そのための貯蓄も万全だというわけです」(矢野氏)
「四国は文字どおり4つの国で、4県の個性があります。道に1万円が落ちていたら、香川県はそのまま貯金、愛媛県は1万円で飲みに行く、高知県は自分の1万円も足して飲みに行く、徳島県は1万円を足して貯金すると言われています」(大江氏)
正誤問題正答率3位は京都である。「株式を購入したことがある人の割合」「投信を購入したことがある人の割合」「外貨預金等を購入したことがある人の割合」いずれも5位以内。また「金融知識に自信を持っている人の割合」は8位と高く、周囲の意見に流されがちかどうかを計る「横並び行動バイアス」は45位と弱い。「誰の意見も聞かず、自己責任で投資をしている」その姿に「かつては首都」だった京都人のプライドをのぞかせる。「京都人は昔からケチで有名。金利がコンマ数%変わるだけで銀行を変える、というぐらい。歴史的にみても、京都の街は戦で何度も壊されてきた。何かあったときの備えとしてのお金、という考えが染み付いている」(矢野氏)。
岡山県は正誤問題正答率で4位に。商業県である大阪とともに栄えた、昔からの「ものづくり」地帯であり、理知的・理論的な県民性で知られる。財布の紐がめっぽう固く、無駄なものは買わない職人気質だ。会社帰りにも同僚と「ちょっと一杯」がないくらい真面目な県民性。「老後の生活費について資金計画を立てている人の割合」でトップ、「緊急時に備えた資金を確保している人の割合」が7位という数字がそれを裏付けている。